その経費、実は「半分しか」落とせないかも?知っておきたい「家事関連費」の基礎知識

「自宅で仕事をしているから、家賃も電気代も全部経費でしょ?」
そう思っていたら要注意です。
確定申告の現場で最も勘違いされやすいのが、この「家事関連費」という考え方。
知らずに全部経費で申告すると、税務調査で痛い指摘を受けることになります。
またその逆で、本来落とせるはずの経費を見逃してしまっていることもあります。
実際、「よく分からない」「面倒だから」という理由で、本来経費にできるはずの家事関連費を、まったく計上せずに申告している個人事業主の方も少なくありません。
この家事関連費の経費を計上していない場合は、知らず知らずのうちに、払わなくてもいい税金を払っている状態と言えます。
このブログ記事では、この「両方にまたがる経費」をどう扱えばいいのか、具体例とともにスッキリ整理していきます。
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そもそも「家事関連費」って何?

家事関連費とは、一言で簡単に言うと「プライベートと仕事、両方の顔を持つ支出」のことです。
例えば、次のような費用になります。
- 自宅兼事務所の家賃・水道光熱費
- マイカーのガソリン代・車検代
- スマホ・ネットの通信費
こうした費用は、生活(事業では無い部分)のためにも使うし、仕事(事業としての部分)のためにも使います。
だからこそ「全額経費」とはいかず、仕事で使った分だけを合理的に切り出す作業が必要になるのです。
この切り出し作業を「按分(あんぶん)」と呼びます。
白色申告と青色申告、実は基準が全然違う!

ここ、意外と知られていないポイントです。
同じ「家事関連費」でも、申告方式によってちょっと違います。
白色申告の人は要注意
原則として、経費として認められるには、事業で使った部分が主たる部分(注意:目安として50%超)を占め、かつ、はっきり区分できることが条件。
ここら辺が、事業を営んでいる方からすると、税法上の「ん???、何言ってんの?」って感じる部分だと思います。
つまり、「半分以上は仕事で使っている」と明確に言えないと、そもそも経費計上が難しいということです。
青色申告なら、もっと柔軟に
一方、青色申告であれば「業務に直接必要なことが明らかな部分」であれば、たとえ事業使用割合が50%以下でも、合理的に按分できれば経費として認められます。
これは青色申告のちょっとした特典とも言えます。
参考:国税庁ホームページ
〔家事関連費(第1号関係)〕の 45-2 (業務の遂行上必要な部分)
に記載。
上記に関するURLはこちら↓
参考:国税庁ホームページ
№2210 必要経費の知識 の「注意事項(1)」に記載。
上記に関するURLはこちら↓
「按分」って具体的にどうやるの?4つの実例で解説

按分の基準に「絶対の正解」はありませんが、実務でよく使われる考え方を紹介します。
ケース1:自宅兼事務所の家賃・光熱費 →「床面積」で按分
家全体(居住スペースの床面積)が60㎡、そのうち仕事部屋が15㎡なら、事業使用割合は25%。
ザックリ言うと、仕事着・仕事道具・事務作業スペースなどを考えると、1室分ぐらいが考えられます(職種によって違いがありますが)。
25%の場合だと、仮に家賃が10万円なら、2万5,000円が経費になります。
電気代も同じ考え方で、仕事スペースの面積比や使用時間で按分するのが一般的です。
但し、水道代は別の考え方になり、通常、一般家庭の水道の使用量は、1位:お風呂(風呂釜にためて使う場合)、2位:トイレ(水栓の場合)という順番なります(これも個別で判断する部分ですが)。
ケース2:車の維持費 →「走行距離」で按分
年間走行距離1万kmのうち、仕事での移動が6,000kmなら、事業使用割合は60%になります。
ガソリン代・車検代・自動車税などを、この割合で按分します。
ポイントは「いつ・どこへ・何km走ったか」を記録しておくと、さらに明確になります。
これがあるとないとでは、税務調査での説得力がまるで違います。
ケース3:スマホ・ネット代 →「使用時間」で按分
厳密な記録が難しい場合は、「平日は仕事、休日はプライベート」など、実態に即した割合(例:50~90%)を用いるケースが多いです。
個人事業主の場合、プライベートよりも事業で使用している方が多いのです。
しかし、この部分も業種や個人の使用方法により、全く異なってきます。
ケース4:火災保険料・固定資産税 →「床面積」で按分
これも、ケース1の家賃について解説したこと同様に、仕事スペースの面積比で計算するのが基本になります。
家賃の按分した割合(%)を使って経費計算することが、一般的です。
なぜなら、家賃に付随してかかってくる支払(経費)となるためです(住んでいるところの火災保険料であり、住んでいるところに連動してかかってくる固定資産税だからです)。
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按分で失敗しないための3つの鉄則

① 「なぜその割合?」に答えられるようにしておく
床面積の図面、車の走行記録、通信時間のメモなど、按分の根拠となる資料は必ず残しておきましょう。
税務調査で聞かれたときに説明できないと、経費が否認されるリスクがあります。
② 毎年、同じ基準を使い続ける
特別な事情もないのに、年によって按分割合をコロコロ変えると不自然に見えてしまいます。
一貫性を維持することは信憑性を維持することにつながります。
③ 仕訳では「事業主貸」も忘れずに
会計処理では、家賃や光熱費の科目に事業分のみを経費として計上し、家事分(プライベート部分)は「事業主貸」として処理するのが一般的です。
例えば家賃10万円のうち事業分2万5,000円を経費にする場合
(仕訳 例1)
地代家賃(借方)100,000円 / 普通預金(貸方)100,000円
事業主貸(借方)75,000円 / 地代家賃(貸方)75,000円
(この場合、差引き25,000円になります)
※残り75,000円(家事分)は経費計上しない。
(仕訳 例2)
事業主貸(借方)100,000円 / 普通預金(貸方)100,000円
地代家賃(借方)25,000円 / 事業主貸(貸方)25,000円
(この場合、地代家賃としての計上は、25,000円になります)
※残り75,000円(家事分)は経費計上しない。
まとめ:曖昧な感覚より、説明できる根拠を

| 申告方式 | 経費算入の条件 |
|---|---|
| 白色申告 | 原則、事業使用割合が主として50%超必要、かつ明確に区分できること(例外有) |
| 青色申告 | 割合にかかわらず、直接必要な部分を合理的に区分できればOK |
家事関連費の按分に「これが正解」という魔法の数字はありません。
大切なのは、床面積・走行距離・使用時間といった、誰が見ても納得できる客観的な指標を使うことです。
「なんとなく半分」ではなく、「こういう理由でこの割合」と胸を張って説明できる状態を作っておく。
それが、確定申告を安心して乗り切る一番の近道です。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
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投稿者プロフィール
古賀 聡
広島県広島市の税理士。現在は、個人事業主・中小事業者(法人)の税務・経営の相談を中心に活動中。ブログ投稿を2020年10月1日に立ち上げ、税務・会計だけでなく、Excelマクロなどのアプリを使って業務の効率化や経営のちょっとしたコツなど、「小さな便利」記事を作成・投稿中。








