開業前の準備・節税対策・融資・経理 事例
知っているか、知らないかで、差がつく・・・
そうならないように、実務でお客様と接する過程で、
提供し体験した事例を、厳選しまとめてみました。
準備期間・開業時・事業継続・・・
事業段階はそれぞれ違いますが、
少しでも事業のお役に立て頂ければ幸いです。
下記のトピックは、クリック(またはタップ)すると、詳細をご覧いただけます。
開業前の準備
マインド・セット(心の整理と準備)
独立開業しようと考えている人は、準備を徹底している人もいれば、ある日突然開業する人もいます。共通しているのは、日々の仕事をどうスキルアップするかという「目標」をもって過ごしています。具体的には、
- いざという時のために資金(のちに開業資金に変更)をコツコツためたり、仕事で使用する道具をコツコツそろえる。
- 取引先(売上先や仕入先)になってもらえるように信頼関係を築く。
- 現在の仕事に精通し、日々向上させる。
- 上記の日々の行動は、周りが気付かない「小さな差」ですが、1年経過すると「追いつけない差」になることを理解している。
・・・など、人によって様々です。
この期間が重要だと思います。いきなり社長(代表者)に化けることってなかなかありません。
「立場」が人を徐々に変えていくこともあります。目的は様々で構いません(自分でやりたい・金持ちになりたい・ガッツリ儲けたい・・・など)。しかし、このような「心構え」や「吹っ切れ感」や「腹のすえ方」が開業された方の共通点です。
もし、このような「覚悟」が無い場合は、開業しない方がよいかもしれません。行きつく所は借金まみれになり、自己破産になり兼ねないからです。そうならないようにするためにも、このような「覚悟」が必要な気がしてやまないです。
私自身も、家族を養うために、退職後から開業の短い期間でしたが、事業が上手くいかない時は深夜の倉庫で仕分け作業のアルバイトができるように、履歴書・面接を受けて準備をしました。もう、後に下がれないという「覚悟」がそうさせました。
売上先の確保・仕入先の確保
日々勤務先で取引先(売上先や仕入先)と顔を合わせ、仕事を通してお互いの信頼関係を構築しています。
しかし、それは「会社の看板」付きであることも考えておいてください。
他方で、仕事の進め方、仕事の知恵・知識、取引先相手(売上先や仕入れ先)を重視する気持ちは大切な心構えです。こちらの気持ちも伝わっていて、取引先相手(日々接している相手)も知っています。ただ、面と向かって言わないだけです。
開業すれば「会社=私」になり、一個人としての信用度に大きく左右される可能性があります。売上先は少しでも多いことに越したことはありません。
また、売上を成立するためにも、仕入先の確保も必須です。仕入が無ければ売上はありません。どちらも重要であり、一つでも多く確保してみて頂ければと思います。
売上のシミュレーション
このシミュレーションは、経費などを含んだ「事業計画」ではなく、売上金額のみに焦点を絞ったシミュレーションです。この売上のシミュレーションは、事業の柱となる商品やサービスをどのように、どれだけ販売するかを検証・計画するものです。
例えば、
- 予定している取引先の数
- 販売する商品やサービスの数量
- 営業日数(土日祝日は休むのか)
- 提供する数量の限界の有無
・・・など業種によって様々です。
これらの数字を計算して、1月当たりの売上をシミュレーションして、実現可能な売上高を算出します。
また、事業の柱となるものなので、どのように販売・サービス提供するかは、勤め先で身に着けた経験値や成功体験という裏付けがあり、シミュレーションしやすいかもしれません。より具体的に考えて、一度紙面(Excelでも構いません)に落とし込んでみてください。
創業当初は、借入金をする場合がよくあります。政府系の日本政策金融公庫でも民間の金融機関でも、損益構造(利益が出るかどうか)と貸借内容(創業の自己資金や道具)などを「創業計画」に記載し、必ず紙面にて提出を求めらることになります。
このように、売上のシミュレーションは、より具体的で実現可能かどうかを判断する計算根拠になります。自身の事業が、開業後に成立するかどうかの判断基準となりますので、精度が高ければ高いほど良いです。
資金の準備とメイン口座の選択
勤務先で給料もらった中からコツコツと貯蓄したり、副業がOKの勤務先であれば、副業で得た収入は貯蓄に回したりして、開業資金を少しでもいいので貯めるのが確実です。
目標金額を設定して、どのくらいの期間で開業資金を準備できるか、おおよその目安を立ててみてください。
自分でコツコツ貯めた開業資金だけでは足りない場合は、創業資金として金融機関に借入金の申し込みます。金融機関にも色々な特色があり、信用金庫や信用組合、第一地銀や第二地銀など、サービスの内容が違います。
すでに勤務先で金融機関と接点がある場合は、創業資金の融資内容(条件など)をさりげなく聞いてみるのもいいです。
また、メイン口座をどこにするかということも考えて、知人・友人・セミナーの講師などに相談して情報を集めておくと、開業時に必ず役に立ちます。
金融機関から、過去に受けた接客やサービスの内容について、嫌な思い出があるかもしれません。しかし、一度、この気持ちをリセットして、事業としてメインにするならどこが良いかを判断してもらえたらと思います。
判断基準には、自らの事業の規模、金融機関の支援方法、本店設置場所などがあります。
事務所・店舗の場所と経費
自宅を事務所にする、店舗を借りて開業する、が挙げられます。
出店場所が売上に影響するような飲食店や小売店など、業種によっては、自宅を拠点にするのは難しい場合があります。その場合は、店舗や事務所を借りなければなりません。
場所が売上に影響を及ぼす業種は、日々意識して極力リサーチをしてください。人の流れ、周辺の環境(住宅地か商業地など)、道路整備により環境が変化しないか・・・などです。
出店場所が売上に影響しないような業種であれば、ちょっと引っ込んだ場所であれば、家賃の金額も下がってきます。家賃は、売上に左右されず毎月支払わなければならない固定費です。極力抑えておきたい支払いです。
自宅(賃貸・持ち家の両方)を事務所にする場合は、仕事をするスペースの確保になります。道具や書類が増える想定で、どれぐらいの広さが必要かをシミュレーションしてみて下さい。
自宅が賃貸の場合は、追加の支払いがないので開業後の資金繰りに好影響になります。事業が安定し手狭になってからでも、別の場所に引っ越すのは遅くありません。
また、今まで支払っていた賃貸の家賃は、一部仕事場として使用しているので経費にもなります。
賃貸の家賃に関する経費(このような経費を「家事関連費」と言います)について、下記のブログを参考にしてみてください。
開業前の経費(開業費)
開業するまでに、準備をするにも経費がかかります。
必ず、相手が発行した領収書や請求書など、支払った事を証明する書類を保管しておいてください。これらの経費は「開業費」として開業後に経費にできるからです。
例えば、
- 独立する業種や経営セミナーの講習費用
- 事業をしている先輩に話を聞くために一席設けた会食代・贈答品代
- 事業に必要な事務用品代や消耗品代(一つ当り10万円未満)
- 事業用のゴム印代やコピー用紙代
・・・・・などなど
開業する事業によって、様々な支払があります。どのような経費が開業費になるか分からない場合でも、領収書などは保存しておいてください。経費になるならないの選別は、後からでも遅くはありませんので。
事業を始める方は、この領収書をもらうという習慣を身に着けることは大切です。ブログ記事がありますので、よろしければ参考して頂ければと思います。
節税対策
節税は、利益が出て初めて効果有り
赤字の場合、節税して無理に資金を使ってしまうと赤字を拡大してしまうだけになり、長期的な視点では資金繰りがきつくなります。
まずは、利益を出すことが必須です。
利益が出ているからこそ、資金にも余裕が出てきます。このような経営状態になり、利益が出ると予測できて、どのような節税対策を選択するか考えます。
また、将来の資金繰りや節税対策のためにも、月次の試算表を早め作成して、事業の現状がどのようになっているかを把握して、準備することも大切です。
すべての節税対策をやるべきか
節税できると、ちょっとうれしいものです。私もそうです。支払う税金が減らせるからです。
節税する方法は、
- 家族に給料を支払って節税(役員報酬や専従者給与、しかし届出などが必要)
- 設備投資すれば節税(減価償却費の特別償却や特別控除)
- 従業員の給料を増やして節税(所得拡大促進税制)
など、昔からある節税方法や、その時の景気状態により税法(税金の法律)は色々と変化し、政策的に各制度が創設・廃止があります。
気に留めて頂きたいのですが、節税と同時に支払もあります。もし、すべての節税対策をすると確実に資金繰りに影響がでて、事業継続が難しくなります。
そのため、どの節税策を選択するのかが重要です。
経営セーフティ共済掛金のメリット
経営セーフティ共済掛金(正式名称:倒産防止共済掛金)の目的は、売上先の金額が回収できない場合に、連鎖倒産をや経営難を防ぐため、支払った掛金総額の範囲内で、融資を低い利息で借入できる制度です。
今まで、この制度があったおかげで、当面の資金繰りができたという事例は多数あり経験してきました。
支払った掛金は、法人でも個人事業主でも経費になります(要件有り)。
もし解約した場合は、解約手当金として金額が戻ってきます(全額ではないことに注意してください)。
100%掛け捨てではないので、支払った額は節税として効果があり、同時に解約したら積立金のように戻ってくるという効果もあります。掛金の総額は800万円が限度額です。
また、掛金総額の範囲内(約70%)で、通常の借入金として融資を受けることができます(契約者貸付)。
このように、節税としての効果だけでなく、事業を安定させるための資金調達先としての効果もあります。
気を付けて欲しいことは、節税として経費になっているので、解約した時に戻ってきた金額は収入になります。
詳細が気になる方は、URLを記載しておきますので、参考にしてみてください。
参考URL:中小企業基盤整備機構のHPより「経営セーフティ共済とは」
30万円未満のパソコンの購入費は経費
30万円未満のパソコンは経費になります。青色申告事業者(法人・個人事業主に共通)、年間で総額300万円が限度(1つが29万円×10個=290万円)など細かい条件はありますが。
仮に、29万円のパソコンを購入し、税率が30%の場合、節税効果はいくらでしょうか?
29万円×30%=8.7万円の節税効果があります。
しかし、8.7万円の節税をするために、29万円の手もと資金が減少します。この点に気を付けて下さい。
ここでは、パソコンを例に挙げましたが、さまざまな備品が対象です。「1台」には、条件があります。
ノートパソコンは単体で「1つ」ですが、デスクトップパソコンは本体・モニター・キーボード・マウスがセットで「1台」です。本体やモニターなど個別では30万円未満でも、セット全額で30万円以上の場合は固定資産になります。
参考URL:国税庁HPより「中小企業等jの少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例」
車を購入する場合は中古
車は購入金額が全て経費にはなりません。
なぜなら、車は数年に渡って使い続けるもので、一年以内で使い切ってしまうようなのものではない、という考えからです。
そのため、一度、「車両運搬具」という固定資産として処理し、その後、数年間(耐用年数と言います)に渡って減価償却費として経費にします。
車の排気量に応じて変わるのですが、新車を購入した場合、5年間に渡って経費にします。
中古車の場合は、年数が経過しているので、5年間ではなく経過している分だけ短くなります(計算方法があります)。
300万円の新車と中古車(5年経過)では、1年間で換算すると概算(定額法を適用)で、新車の減価償却費は60万円、中古車の減価償却費は150万円となります。その差額は90万円になり、中古車の方が費用にする額が大きくなるのです。
不必要に中古車を買う必要はありませんが、新車と中古車では、経費の金額に差があることを覚えておくことをおすすめします。
青色申告の効果(個人事業主の場合)
申告には「青色申告」と「白色申告」があります。青色申告の場合「所得税の青色申告承認申請書」の書類を税務署に提出し承認を受けなければなりません。
この「青色申告」にした場合、様々なメリットがあります。他方でデメリットもあり、承認申請の提出と、必要書類が多く帳簿作成などが面倒な部分です(この「面倒」が肌に合わず「白色申告」する方もいます)。
参考までに、国税庁ホームページの「所得税の青色申告承認申請書」の書類を記載しておきます。
参考:国税庁のホームページ
「所得税の青色申告承認申請書」(PDFで開きます)
①青色申告特別控除の効果(個人事業主の場合)
最大で65万円の特別控除を受けることができます。収入から経費を引いた後の金額を所得金額と言います。この所得の金額から毎年65万円を引くことができます。
この効果は1年では小さな効果ですが、数年間(例えば5年など)で考えると大きな効果があります。
詳細については、青色申告特別控除の効果について、ブログ記事で、具体的な金額(数値)を上げて記載しておりますのでよろしければ参考にしてみてください。
②青色事業専従者給与(個人事業主の場合)
青色申告の場合は、家族に対する給料を経費にできます。この給料のことを、「青色事業専従者給与」と言います。「青色事業専従者給与」として給料を経費にする場合は、税務署に対して届出を提出する必要があります。
一定の条件がありますが、家族に支払う金額が給料として、通常の経費と同様に差し引くことができます。
この効果は、個人事業主本人の節税だけではなくて、その家族に給料として支払うことができるので、個人事業主の家族全体の資金を大幅に確保できます。
参考までに、国税庁ホームページの「青色事業専従者給与」の書類を記載しておきます。
参考:国税庁「青色事業専従者給与に関する届出書」(PDFで開きます)
融資・資金繰り
開業時の融資 「創業融資」
ほとんどの民間の金融機関でも政府系の金融機関でも創業時に利用できる融資制度を設けています。
大まかに分けて下の3つの区分があります(金融機関によって差があります)。
- 事業を開始する前に申し込みをする場合
- 事業を開始して1年経過していない場合
- 事業を1年以上経過している場合
創業時の融資では、事業が軌道に乗っているか分からない状態で、金融機関は融資をします。金融機関の側からすると、実績が無く、事業としてそもそも成立するか分からない状態で融資するので、慎重にならざるを得ないのは理解できると思います。
金融機関と同じ立場になって、見ず知らずの人にお金を貸してくれと言われ、返ってこないかもしれないお金を貸すでしょうか?
それでも創業融資制度があるということは、創業をスムーズに進めていくための社会的役割があるからです。
何を慎重にみられるのかは、「事業の信ぴょう性」です。この信憑性を成立させるために、さまざまな関係資料の提出や、面談の質疑応答を行います。
具体的には、
- 「創業計画書」の作成
- 事業を行うための許認可証書(営業許可証、資格者証書、講習を受講した証書など)
- 事業主自身の事業の経歴や家族構成
- 住宅ローン、他のローンやリース、金融機関の借入金などの有無
- どの金融機関をメインバンクとして考えているか
- 過去の犯罪履歴や賞罰規定の履歴の確認
・・・などがあります。
これだけ並べられたら「面倒くさいなぁ・・・」や「無理だ・・・」と考えるかもしれません。しかし、代表者として事業を成立させるために、日頃考えているコトをまとめているに過ぎません。
この「考えているコト」を「紙面に落とし込む」と考えて頂ければ、グッとハードルは下がるのではないでしょうか。そのため、「創業計画書」を作成し、その内容の精度が高ければ高いほど、融資の可能性は高まります。
政府系の金融機関で日本政策金融公庫があります。参考までに、日本政策金融公庫が設けている「新規開業資金」についてのURLを記載しておきます。(2024年4月以降では、融資限度額が大幅に増額されております。)
日本政策金融公庫の「新規開業資金」
日本政策金融公庫の「創業計画書」のPDFファイル
日本政策金融公庫の「各種書式ダウンロード」(業種別で「創業計画書」の記載例があり)
通常の融資 「運転資金」「設備投資」
開業を経過して、通常運転に移行すると(約3年から5年が目安)、事業が安定し始めます。もちろん、紆余曲折あり安定期に入るのが難しい場合もあります。事業を継続するために、毎月の入出金に多少の不安がある場合は、資金ショートを防ぐために「運転資金」の融資を考えます。
また、設備を投資して、事業の売上高が増加したり、事業の効率化を図って経費が削減したり、などの目標を設定して設備を導入するために「設備資金」の融資を検討します。
どちらも、事業を安定化させるための資金調達です。「創業融資」と違い、この時点では、「事業の実績」がついています。そのため、融資する側の金融機関も、融資し易いのがこの時期です(保証協会を通しての融資が主になりますが)。
ここで重要なのが、金融機関の担当者とのコミュニケーションです。
金融機関の担当者が「イイ」「ワルイ」は判断基準になりません。大切な事業を主軸に考えてください。事業の現状について情報を共有することで、必要と考えるタイミングで、スムーズに融資による資金調達ができる準備をします。
他方では、数年経過している安定期でもあり、メインバンクの金融機関には、口座の入出金の履歴は見られています。メインバンクの営業担当者は、融資の営業をしてくる可能性があります。その場合は「渡りに船」です。
融資後に行う検証
融資を受けた後も、お付き合いは続きます。
「運転資金」で融資をうけた場合は、融資後の事業の状況を説明を求められる場合があります。そのため試算表を求められます。提出された試算表と代表者の説明内容を基に、融資後の資金繰りの回復見込みや経費の削減金額などを、金融機関でも検証されます。
「設備融資」であれば、実際の売上の増加や経費の削減が見込めたか、目標としていた(話し合っていた)数値に近づけているのかを試算表などで提示します(あるいは試算表や購入した設備資金の領収書等などの関係資料を求められます)。
重要なことは、「運転資金」でも「設備資金」でも、その後の効果を代表者(会社では社長)が検証しているかどうかということです。
「借りっぱなし」が一番危険です。自らの事業資金の改善策が、考えていた効果に到達していたかどうかを検証することは必須になります。
また、金融機関の担当者も、検証しているかどうかを確認して、信頼できる人物かどうかを判断してきます。
売上は、回収して完了
売上を上げることは決して簡単なことではありません。開業当初や、会社全体の売り上げが欲しい場合は、ついつい値引きをしてみたり、忙しさのあまり売上の回収を後回しにしてしまう時もあります。
しかし、自らが行った仕事に対する報酬という価値(売上高)は、その金額を回収して初めて意味があります。
厳しい言い方になりますが、どれだけ付加価値の高いサービスや商品を提供したとしても、請求した金額を回収しない限り、次の売上(運転資金:次に売上を上げるための仕入や外注の金額)につながることはありません。
通常は、売上高は掛け売りをして、その金額を2ヶ月以内に手形や現預金で回収するのが1つの目標になります。3ヶ月以上になると、確実に運転資金を圧迫してしまいます。
仮に、毎月の売り上げが100万円で粗利率が50%だとすると、材料や外注費は50万円になります。3ヶ月分(300万円)の売上が未回収の場合、50万円×3ヶ月=150万円の金額を実質立て替えていることになります。
現金売上が売上高のメインを占めている飲食店や小売店などのように、現金売上の強さは売った瞬間をお金になるということです。売上債権の回収が非常に早いことが特徴です。これが、現金商売の業種が倒産しにくいという理由です。
売上債権の回収期間は、業種によって異なります。お金に代わるまでの日数(債権回転日数)は、ぜひ気に留めておいてください。
貸し倒れの本当の怖さ
掛け取引による売上高の場合、どうしても資金になるまで日数がかかります。
仮に、売上の金額が100万円で粗利率が50%だったとすると、材料費や外注費は50万円になります。この100万円の金額が貸し倒れになったとします。事業の資金をどれだけ圧迫するでしょうか?
まず、回収できない100万円が確実に損失になります。そして、材料費や外注費の支払いとして50万円があります。実質的な損失は、入金されない100万円と支払ってしまった50万円の合計150万円になります。
そして、この150万円を稼ぐためには、300万円の売上高が必要になってきます。
この貸倒による損失を埋めるためには、それ相応の売上(300万円)を上げるための労力が必要です。この労力は、損失を埋めるための労力で、利益のための労力ではないため、利益には全く貢献しません。気分的にもかなりしんどいです。
貸倒の本当の怖さは、金額だけではなく、精神的な影響により、いつも通り入金して頂いているお客様に提供する商品やサービスの品質に影響が出て、低下してしまう可能性があるということです。
貸倒の金額は、もしかしたら金融機関の融資で、一時的ではありますが、穴埋めでき資金繰りをうまく回すことができるかもしれません。
しかし、もし仮に品質が低下してしまったら、今まで築いてきた信用を失ってしまう恐れがあります。信用を失ってしまったら、簡単に取り戻すことができません。
事業が提供する品質に影響がでないよう、「気持ちがブレない」で頂ければと、切に願います。
「1日」というタイムラグは重要
資金繰りをする時に、「1日」は重要です。
仮に現時点の事業の状態を、
現預金残高:100万円
支払日と金額:月中の15日が支払日、支払金額は150万円
入金日と金額:月末に入金され、金額は300万円
とした場合、資金繰りは可能でしょうか?
答えは、資金ショートして行き詰まります。
入金が支払日よりも後になってしまって、残高だけでは支払が賄いきれないため、支払ができない状態です。
これが、資金ショートする典型的な事例です。
この、支払日が先で入金日が後の状態で、1日でもずれていれば資金ショートします。もし、支払日と入金日が同日で重なれば、資金ショートをかろうじて免れます。たった「1日」ですが、されど「1日」です。
この「現在の支払可能残高」・「支払金額とその期日」・「入金金額とその期日」の3つの関係を確実におさえて、資金の入金や支払の仕組みを作ってみて下さい(洗い直してみて下さい)。
当たり前のことですが、まずは、入金が1番です。支払う金額の有無に関わらず、まずは入金があってこそ支払える金額があります。
定期積立金を使う
×××
経理・処理の効率化
帳簿の基本は4つに区分
日々の帳簿の整理は、めんどくさいと思います。でも、事業をやってる以上必要なものです。
1つ1つの取引を仕訳にして処理していくのですが、全体を俯瞰してみるのがポイントです。下のリストのように大きく4つに区分して処理をすると分かりやすいです。
毎週1回処理するもの、毎月1回の定期的に処理するものなど、処理するタイミングを決めると、さらに効率的に処理が進みます。
- 現金・預金
- 売上高(売掛金)
- 仕入高・外注費(買掛金)
- 給料関係やカード支払関係(未払金)
まずは、現金及び預金です。
業種にもよりますが、この仕訳処理が、全体の約70%ほど占めています。そのため、現金及び預金の仕訳処理を効率よくできるかどうかで、時間や手間に影響します。時間や手間がかかるのは、②から④と違って、相手の勘定科目の種類が多いため、どうしても時間がかかってしまいます。
預金の場合は、金融機関の通帳があるので、どちらかというと作業しやすいと思います。
現金の場合は、あまり領収書を溜め込まないのがコツです。1週間に1回や10日に1回など、定期的に処理することをおすすめします。領収書の整理なども結構大変です。そのため、極力、現金を使わずにカードや預金に切り替える工夫をするのも一つです。
掛け売り上げは、売掛金の勘定科目を使って処理します。単純に「売掛金と売上高」の仕訳です。後は仕分けのボリュームが多いか少ないかだけです。
掛けによる仕入れや外注費の支払いも同様です。「仕入高と買掛金」「外注費と買掛金」の仕訳です。業種によっては、売上よりも取引先相手が多くボリュームがあるかもしれませんが、やはり同じようにパターンも決まっています。
掛けによる取引は現金の取引と違ってタイムラグが生じます。そのため、このタイムラグを埋めるために売掛金・買掛金・未払金などを使って処理をしていきます。
残りは、給料やカードの支払いなどの未払金です。
個人事業主でスタートした場合、従業員がいない場合は処理が一つ減ります。法人の場合は、自らの役員報酬があるので必要になってきます。
またカードの支払いは、月1回のカード支払明細が届く(もしくは閲覧する)ので月1回の処理になります。現金のように日々処理する必要がないため、どちらかというとそこまで手間はかかりません。
処理をする際の勘定科目は色々ありますが、この4つに区分された処理内容がメインです。業種に特徴があったり、事業規模が大きくなってくると、多少複雑になってきますが、基本は4つのパターンに区分されます。
現金出納帳はExcelで管理
現金出納帳はExcelで処理すると管理しやすくなります。
パソコンやiPadを使って処理するのですが、現金出納帳のフォーマットを少し工夫して、残高のところに計算式を入れて自動表示させるようにすると、手書きと違って書かなくていい部分が出てきます。これだけでもちょっとした効率化になります。
また、各勘定科目の合計などを表示する計算式を入れたりすると、処理したところまでの金額が自動で合計表示されるので、何にお金を使っているのかがすぐに分かります。
エクセルの知識が必要にはなってきますが、そこまで難しくはありません。基本的なExcelの知識を身につけて、現金出納帳のフォーマットを作ると、後はこれを12ヶ月繰り返すだけです。しかも毎週やる処理のため、ちょっとした手間を省くという意味では、煩わしさがなくなってきます。
無駄なものは徹底して省く
最近では、役所などの提出書類に印鑑を押さなくてもよい場合が増えてきました。省かれたものの一つです。
コロナ禍の時は、経費を減らすために仕事の内容を見直し、徹底して無駄を省いたのではないでしょうか。ようやく落ち着いた今、省かれた無駄は引き続き省きたいものです。
定期的に「仕事の内容を見直す」ことで、無駄なものがないかどうかを洗い出すことができるかもしれません。当たり前のことを、少し立ち止まって疑ってみるという感覚も重要です。また、他の業種や専門外の知識から情報を得て、自らの仕事に取り入れられないかという方法もあります。
私の場合は、「パソコンができることはパソコンがする」、「人しかできないことは人がする」、の考え方で効率化を進めています。
特に役に立ったのがExcelのマクロと「STREAM DECK」という左手ディバイスです。
ショートカットキーなどキーボード操作で、素早く指を動かし、最短で処理したとしても、マクロの処理のスピードには勝てません。
パターン化されている仕事の内容を洗い出して、マクロ処理することで、短い時間ですが短縮できます。仕事全体を大々的に効率化する方法ではありませんが、小さな時間短縮は、合計すると大きな時間短縮になっています。毎日、毎週、毎月おこなう仕事なので、確実に日々が楽になってきます。
「STREAMDECK」という左手ディバイスについては、ブログ投稿の記事にしております。よろしければそちらを参考にしてみてください。
無料で自己学習とスキルの向上する
「無駄なものは徹底して省く」でも触れたようにExcelのマクロはすぐにできるものではありません。私の場合は、それなりの習得時間(約2年ほど)がかかりました。
しかしこのおかげで、日々の仕事がぐっと楽になり、その後もこのマクロを使い続けています。Excelが無くならない限り、この知識はずっと役に立ちます。
多少のメンテナンスは必要ですが、スキルを向上するために、ネットで調べたり本を読んだりして習得に励んでいます。
昔は専門学校に行ったりして、知識やスキルを身につけていました。
今はYouTubeがあります。
無料で、色々なことを動画で分かりやすく説明している方もいっぱいいます。動画の内容が本当かどうかを、実際に検証してみる必要はありますが、分からないことが分かるキッカケになります。
このような無料の学習ツールを使わない手はないです。
わざわざ通って専門的な知識を習得するにはお金がかかっていた時代からすると、ネット環境は必要ですが、場所を選ばず習得できる時代になりました。
体系的に習得するには本などが良いかもしれません。YouTubeの動画を組み合わせることで、部分的に分かりやすく説明しているので、理解のスピード(習得するスピード)が速くなります。
スキルの向上で、仕事のスピードが早くなったり、仕事の幅が広がったりできるので、仕事全体で見ると効率化の一つではないでしょうか。
「試算表」は事業のチェックシート
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事務所の紹介
プロフィール
税理士 古賀聡
アクティブ・サポート株式会社 代表取締役
出身・育ち
1971年2月生まれ 福岡県福岡市南区育ち
広島に移住して、20年以上税理士業務を経験
心掛けていること
・何でもできると言わない、できない事をできると言わない
(敷居を低く感じてもらうような言動を慎む)
・しかめっ面で仕事をしない、接客しない。
(通常、相談=未解決の問題があるため来ている。少しでも「和んで」もらうようにする。)
・すぐに諦めない
(経営は粘りが必須、諦めずにコツコツやる事で必ず光が差してくる。)
・事業の将来目標をもち、惰性で事業をしない
(小さなことでも将来目標をもち、行動する。)
主な経験事業
税理士として相談・関与させて頂いた業種を記載しております。
記載以外の業種でも、ご相談頂いても構いません。
一緒になって、事業の組立を考えていきます。
製造業
- 金属製品加工業
- プラスチック製品加工業
医療業
- 耳鼻咽喉科
- 小児科
- 整形外科
飲食業
- 居酒屋
- 寿司店
- 創作料理店
- カレー店
- 大衆食堂店
小売業
- 生花種苗販売業
- 雑貨販売業
卸売業
- 鮮魚卸売業
- 布団卸売業
運送業
- 一般貨物自動車運送事業
- 貨物軽自動車運送事業
- 一般乗用旅客運送事業
建設業
- 土木一式工事
- 建築一式工事
- 大工工事業
- とび・土工工事業
- 電気工事業
- 鋼構造物工事業
- 塗装工事業
- 内装仕上工事業
- 機械器具設置工事業
- 造園工事業
サービス業
- スポーツインストラクター業
- ホステス業
- デザイナー業
- コピーライター業
- 屋外広告業
- 自動車修理業
- 船舶修理業
- 保険代理店業
- 一級建築士設計事務所
- 司法書士事務所
- 土木建築サービス業
- 不動産コンサルタント業(主に宅地建物取引主任者の業務)
- 不動産賃貸業
- 葬儀司会業
- 死化粧師業
提供サービス
【月次監査】
・自計化に伴う、各種の相談
帳簿の処理が適切に行われているかどうかを確認
月次の仕訳処理について、どう処理していいか
(⇒訪問時に、都度ご質問して頂き回答させて頂きます)
毎月の現金出納帳や預金出納帳などの処理をもっと効率的に行いたい
(⇒エクセル等でテンプレートを作成)
保存しているデータを共有してスムーズに月次処理したい
(⇒ドロップボックスの活用により、シームレスに情報共有する)
・書類の準備(偶数月・奇数月でファイリング)
請求書(控)
請求書(自動引落を含む)
現金及び預金支払い領収書、カード明細書
給与明細(コピーまたはスキャンデータ)
その他の処理(契約書・借入金関係書類・車検証書など)
・試算表等の作成、現状報告
毎月の訪問時に、月次の試算表等を作成し、現状の報告
※必要に応じてオンラインでミーティング
(「AnyDesk」あるいは「LINE」を使用してウェブ会議が可能)
【決算前打合せ】
・月次監査による試算表等を基に考察・検証
・決算対策の打合せ(決算の2~3か月前に実施)
⇒黒字の場合・・・節税対策・数ヶ月先を見据えた資金繰りなど
⇒赤字の場合・・・経費見直し、融資の相談(日本政策金融公庫や民間金融機関)など
⇒当期損益の着地点を概算する(損益シミュレーション)
⇒上記概算に基づく納税額の算定(法人税等・所得税・消費税等)
【記帳代行業務】
・お客様にて各種書類の準備をしていただき、弊社にて預ります
(あるいはドロップボックスにてデータ共有)
・弊社にて記帳業務を行う(資料を基に帳簿の作成を代行)
・月次データ(現金出納帳・預金出納帳・試算表)の作成
・お客様に訪問させていただき、試算表等の現状報告及び資料返却
(場合によっては、郵送にて返却する場合がございます)
【資金繰りの相談】
・独立開業の場合の創業融資の相談
(⇒日本政策金融公庫や民間金融機関の融資をサポート)
・事業継続のための運転資金や設備資金の融資サポート
(⇒単年度の経営計画(1年間の経営計画)の作成)
・バンクミーティング(金融機関とのミーティング)の支援業務
(⇒試算表等や決算報告書の報告に参加・内容などの説明等)
料金体系
【個人事業主および法人の関与先様の共通の報酬表】
【顧問料(月次監査を行う場合)】
月次顧問料:月額 30,000円~
(業種・売上高により変動:最大で:180,000円)
【記帳代行料】
月当たりの仕訳数:300まで 月額10,000円
月当たりの仕訳数:500まで 月額30,000円
月当たりの仕訳数:800まで 月額50,000円
月当たりの仕訳数:1000まで 月額80,000円
※システムの都合上、
過剰に増えてしまう場合や特殊な場合は、
上記の月当たりの仕訳数には数えません
法人の関与先様の報酬表
【確定申告作成・提出】
決算書・法人税申告書作成(①):180,000円~
消費税等申告書作成:①の金額に含む
法人県民税・法人事業税申告書の作成:①の金額に含む
(都道府県が2以上の場合:1都道府県当たり +20,000円)
法人市民税申告書作成:①の金額に含む
(市町村が2以上の場合:1市町村当たり +20,000円)
個人事業主の関与先様の報酬表
【確定申告書作成・提出】
事業による決算書・所得税申告書作成;150,000円~
消費税等申告書作成:上記金額に含む
※各種の所得金額の計算については、
別途追加で料金が発生します
単発のご相談
顧問契約ではなく、個別で
・相談してみたい
・確認してみたい
・税理士はいるがセカンドオピニオンとして聞いてみたい
といったスポットの相談となります。
そのため、
・継続的な支払が必要ない
・現在の顧問税理士を変更しなくてよい
・部分的な税金のことだけ聞いてみたい
・経理の効率化についてだけ聞いてみたい
といったメリットがあります。
相談内容の具体的な一例
・独立開業する前に準備することを聞いてみたい
・自分で個人の確定申告を作成できるようになりたい
・決算書(損益計算書、貸借対照表)が読めるようになりたい
・節税できているかどうか確認してほしい
・資金調達できるか確認してほしい
・現在の経理をExcelを使って効率化できないか
単発税務相談の対象者
・フリーランス(個人事業主)
・社長(法人役員)
・会社員で将来独立開業を目標にしている方
単発税務相談の料金
1時間:22,000円(税込み)
30分追加ごとに11,000円が加算
事前にお読みいただきたいこと
・単発相談の趣旨
単発相談は、その場で完結するものに限ります。
事前のご質問は、申込時点で相談内容をお知らせください。
当日は、事前のご質問以外のご相談も可能です。
脱税行為・脱法行為など、公序良俗に反するご相談はお断り致します。
・複数人での相談について
ご夫婦に限り、複数人でご相談を承ります。
また、小さなお子様が同席してもかまいません。
その際、必要であればお飲み物とお菓子の準備をさせて頂きます。
・当日について
特に必要なものはございませんが、
ご自身の相談に関する資料や、
質問事項のリストをお持ち頂くと、
ご相談内容を整理しやすいです。
対応方法は、事務所に来社して頂き、
パソコンと共有した大型モニターを使って、
相談内容の情報を共有しながら、
関係資料(業界指数・経営指標・事例内容など)や
今まで税理士として経験した実例を基に
回答させて頂きます。
お問い合わせ
申し込み方法
提供サービスや単発相談については、
問い合わせフォームから
ご連絡をいただきますようよろしくお願い致します。
右の「問い合わせ」画像をクリックして頂くか、
上の「問合せボタン」をクリックして頂くと、
問い合わせフォームの画面に移動します。