有給休暇の買取と所得税(退職時に起こる内容)

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通常、会社が従業員の有給休暇を買い取ることは、労働基準法第39条に違反するため原則として認められていません。しかし、法定の有給日数を超える部分や、退職時に残った有給休暇については、労使間の合意があれば、法に抵触しない場合もあります。

例えば、従業員が1ヵ月後に退職する場合で、有給休暇が40日残っているようなケースでは、全てを消化できないことがあります。このような場合、従業員と協議の上で、未消化分を日数ごとに算定し、会社が買い取ることがあります。

この際、経理担当者にとっての課題は税務処理です。支払われる金額が退職手当として扱われるべきか、給与として処理すべきかが問題となります。所得税法第30条には、退職手当や一時恩給など退職によって一時に受け取る給与が「退職所得」として定義されています。また、所得税法基本通達30-1でも「退職に基因して一時に支払われる給与」が退職所得とされています。

国税庁のホームページで、退職所得に関する取扱いを引用しておきます。

引用:「国税庁ホームページ:退職所得となるもの」の「概要」部分
URL:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2725.htm

退職所得とは、退職手当、一時恩給その他の退職により一時に受ける給与およびこれらの性質を有する給与(これらを「退職手当等」といいます。)に係る所得をいいます。

すなわち、退職所得として課税される退職手当等とは、退職しなかったとしたならば支払われなかったもので、退職したことに基因して一時に支払われることとなった給与をいいます。

したがって、退職に際しまたは退職後に使用者等から支払われる給与で、支払金額の計算基準等からみて、他の引き続き勤務している人に支払われる賞与等と同性質であるものは、退職所得ではなく給与所得とされます。

これらの基準に基づき、税務当局は「退職する従業員にのみ適用され、退職に伴って支払いが発生し、退職金と同時に一括で支払われる場合は退職手当に該当する」と解釈しています。

ただし、こうしたケースは例外的であり、通常は違法とされるため、慎重に対応する必要があります。

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有給休暇、正式には「年次有給休暇」とは、賃金が支払われる休暇を指します。労働基準法第39条に基づき、使用者は業種や雇用形態にかかわらず、正社員やパートタイム労働者を含め、一定の条件を満たす全ての労働者に年次有給休暇を付与する義務があります。

年次有給休暇の付与要件は? 雇用開始から6ヶ月が経過し、その間の全労働日の8割以上に出勤していることが条件です。

有給休暇は、労働者の心身の疲労を癒し、充実した生活を保障するための大切な制度です。もし有給の買い取りが認められると、会社側が有給取得を妨げる可能性が生じ、法律が定めた本来の目的が損なわれてしまいます。

そのため、労働者の同意があったとしても、原則として有給休暇の買い取りは違法とされています。この点を改めて注意してください。

最後まで、ご覧いただきありがとうございました。

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投稿者プロフィール

古賀 聡

広島県広島市の税理士。現在は、個人事業主・中小事業者(法人)の税務・経営の相談を中心に活動中。ブログ投稿を2020年10月1日に立ち上げ、税務・会計だけでなく、ExcelマクロやRPAを使って業務の効率化やWebサイトの構築など、「小さな便利」記事を毎週月曜日に作成・投稿中。

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