【もう価格競争で消耗しない】小さな会社・お店が「大手に戦わずして勝つ」ための生存戦略 「5つの脅威(ファイブフォース分析)」

日々、現場の最前線で事業を引っ張っていらっしゃる個人事業主・小規模法人の経営者の皆様、本当にお疲れ様です。

「近くに大手チェーンや競合店ができて、客足が遠のいてしまった…」

「原材料費や人件費が上がっているのに、値上げをするとお客様が離れそうで怖い…」

「集客サイトや予約プラットフォームに依存していて、高い手数料を引かれるのが辛い…」

スモールビジネスを経営していく中で、このようなお悩みを抱えたことはありませんか?

使える予算や人員が限られているスモールビジネスにおいて、最も避けなければならないのは「大企業やライバルと同じ土俵で、同じルールで戦うこと」です。

では、限られたリソース(資金や人員など)の中で、どうすれば安定して利益を出し、生き残っていくことができるのでしょうか?

その強力な武器となるのが、経営学で重要な考え方の「5つの脅威(ファイブフォース分析)」と、そこから導き出される「サバイバル戦略」です。

今回は、この難しい専門用語を分かりやすく噛み砕き、飲食業や宿泊業などの具体例を交えながら、明日から使える実践的なアクションプランとして解説したいと思います。

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「5つの脅威(ファイブフォース分析)」とは、経営学者であるマイケル・ポーター教授が提唱した、「あなたのビジネスを取り巻く5つのプレッシャー(脅威)」を整理する道具です。

事業を経営する場合、どうしても「ライバル店(同業者)」の存在は気になってしまうものです。

しかし、自社の事業の利益を削り取っていく「敵」は、実は目の前のライバル(ライバル店)だけではありません。

まずは、この「5つの脅威」がどのようなものか、具体的に「小さな個人カフェ」を例で考えてみます。

カフェに例える「5つの脅威」の正体

あなたの経営するカフェの周囲には、実は以下のような5つのプレッシャーが常に働いています。

まずはイメージしてもらうため、「5つの脅威」を分かりやすく図にまとめると、以下のようになります。

1つ目の脅威:既存競合との敵対(目の前のライバル)

お隣の通りにある、似たようなメニューや価格帯の喫茶店。

お客様を日々奪い合っている直接のライバルです。

2つ目の脅威:新規参入の脅威(新しいライバル)

近くの駅前に新しくオープンする、おしゃれなカフェチェーン店。

突然現れて、ごっそり顧客を持っていってしまう存在です。

3つ目の脅威:代替品の脅威(別ジャンルへの乗り換え)

「カフェに行く」という行為そのものを不要にしてしまう存在。

例えば、コンビニの安価で手軽な美味しいコーヒーや、自宅・オフィスで手軽に飲めるコーヒーマシンなどです。

4つ目の脅威:買い手(顧客・プラットフォーム)の交渉力

「もっと安いものはないのか?」「もっとお得なクーポンはないの?」と要求するお客様。

あるいは、掲載手数料や送客手数料を引いてくるグルメサイトや予約プラットフォームの存在です。

5つ目の脅威:売り手(仕入れ先・求人)の交渉力

コーヒー豆を卸してくれる業者からの値上げ要求など自社の資金を圧迫する存在です。

あるいは、アルバイトを募集する際の「求人広告費」や「最低賃金」の上昇など、あなたの店にお金を請求してくる存在です。

いかがでしょうか?「ライバル店」以外からも、さまざまな形でお金や利益が逃げていく構造になっていることがお分かりいただけるかと思います。

スモールビジネスが最もダメージを受けやすい「隠れた強敵」

大企業に比べて、個人事業主や小規模法人が特に大打撃を受けやすいのが、実は「4. 買い手の交渉力」と「5. 売り手の交渉力」の2つです。

  • 買い手(プラットフォーム)の支配
    集客を大手のネット予約サイト(OTAやグルメサイト)に100%依存していると、高額な手数料を引かれ、実質的に主導権を握られてしまいます。
  • 売り手(仕入れ・人件費)の圧迫
    大量仕入れができないため、原材料の高騰をそのまま受け入れざるを得ず、人手不足の中で求人費や人件費の高騰もモロに受けてしまいます。

だからこそ、この5つの圧力に負けない「独自の戦い方」を身につける必要があります。

この5つの脅威から身を守るために、経営学では「3つの基本戦略」が推奨されていますが、結論から申し上げます。

個人事業主や小規模法人は、「安さ(コストリーダーシップ)で勝負する戦略」だけは、絶対に選んではいけません。

「安さ」で勝つためには、大量仕入れや徹底的な機械化といった「規模の力」が必要です。

これは大企業の特権であり、個人事業主や小規模の法人が同じ土俵で薄利多売を始めると、体力(資金)が持たずに自滅してしまいます。

個人事業主や小規模の法人が選ぶべき道は、実質的に以下の2つに絞られてきます。

それは、「差別化戦略」そして「集中戦略」です。

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戦略名スモールビジネスでの判定概要
1. コストリーダーシップ絶対に避ける圧倒的な安さで勝負する(個人がやると潰れます)
2. 差別化戦略推奨独自の「ウリ」や高い付加価値でファンを作る
3. 集中戦略🌟 超推奨(王道)ターゲットを極限まで絞り込み、そこで独自の価値を提供する

特に、ターゲットを極限まで絞り込む「集中戦略」こそが、スモールビジネスにとって最も勝率が高く、事業を継続していく上で成立する王道の戦略です。

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では、個人事業主や小規模の法人が「集中戦略」や「差別化戦略」を使って、5つの脅威を避ける具体的なシミュレーションを、飲食店と宿泊業(ペンションや旅館など)を挙げて見てみましょう。

事例①:飲食店(個人経営の小さな居酒屋)

  • よくある失敗(どっちつかず)
    「普通の居酒屋」として開業。近くに安い大手チェーンやおしゃれなバル(競合他社)ができ、顧客(買い手)が流出。売上が下がり、値下げで対抗した結果、赤字転落…。
  • サバイバル戦略(差別化戦略と集中戦略)
    ターゲットを「近隣の、こだわり日本酒が好きな40代以上のビジネスパーソン」に極限まで絞り込み(集中)、常時30種類以上の希少な日本酒と、それに合うおばんざいだけを提供する店にする(差別化)。
  • ファイブフォース(脅威)への効果
    既存競合・新規参入
    近隣に大手の安い居酒屋ができても、顧客層が全く被らないためノーダメージです。

    買い手(顧客)
    「ここでしか飲めない日本酒がある」ため、価格比較をされず、客単価が高くてもファンが通い続けてくれます。
    また、新規顧客が気に入ってくれて、常連客になってくれ、予約サイトへの高額な広告費に頼るらなくてもよくなります。

事例②:宿泊業(全5室の古民家ゲストハウス)

  • よくある失敗(どっちつかず)
    「素泊まり3,000円、誰でも大歓迎」として開業。近くに新しい格安ビジネスホテルや大手民泊(新規参入・既存競合)ができ、100円単位の価格競争に巻き込まれて稼働率が低下…。
  • サバイバル戦略(差別化戦略と集中戦略
    ターゲットを「愛犬と一緒に旅行したい富裕層」に絞る。
    ドッグランを併設し、犬用のアメニティや食事を徹底的に充実させ、1泊3万円のプライベート宿にする。
  • ファイブフォース(脅威)への効果
    代替品・既存競合・新規参入
    一般のホテルは「ペット不可」が多いため、強力な参入障壁(新規で参入するのが難しい大きな壁)になり、ライバルが自動的に消え去ります。

    買い手(顧客)
    犬と一緒に贅沢な時間を過ごしたい飼い主にとって、3万円は「妥当な価値」になり、値引き交渉をされにくくなります。

あなたのビジネスを「強固な砦」にするために、以下の4つのアクションを順番に進めてみてはいかがでしょうか。

アクション1:「誰の、どんな悩みに特化するか」を書き出す

「誰でもいいから来てほしい」は、「誰からも選ばれない」と同義です。

「〇〇専門」「〇〇な人向け」と言い切れるレベルまで、一度ターゲットを思い切って狭めてみてください。

絞り込むほど、提供する商品(料理や宿のイメージ)も絞り込まれてきます。

そして、特化することで、伝えたいメッセージは顧客に刺さるようになります。

アクション2:プラットフォーム(買い手)への依存度を下げる

売上を予約サイトやポータルサイト、紹介会社に依存していませんか?

LINE公式アカウントを活用したリピーターの直接囲い込みや、SNSでの丁寧な自社発信など、「手数料を払わずに顧客と直接つながる仕組み」を少しずつ作ってみて下さい。

この取り組みは、継続するための根気が必要で、かつ、時間がかかりますが、少しずつ効果が出てきます。

アクション3:「仕入れ先(売り手)」を大切なパートナーに変える

小規模だからこそ、仕入れ先や外注先との「信頼関係」が最大の防衛策になります。

単なる「買う・買われる」の関係ではなく、情報交換を密に行い、お互いに融通を利かせ合える関係を作っておくことで、突然の供給ストップや理不尽な値上げを防ぎます。

対面によるちょっとした言葉の掛け合いや立ち話も、この情報交換という意味では重要になってきます。

アクション4:あなた自身の「ストーリー」を付加価値にする

大手企業には絶対に真似できず、スモールビジネスにしかできない最大の差別化要素。

それは、「経営者(あなた)自身の顔、創業のストーリー、温かいおもてなし」です。

お客様が「商品が良いから買う」だけでなく、「あなたから買いたい」と言ってくれる関係性を目指してみてはいかがでしょうか。

「5つの脅威(ファイブフォース)」を分析すると、時に「こんなに課題があるのか」と不安になるかもしれません。

しかし、課題がハッキリしたということは、同時に「次に打つべき手が明確になった」ということになります。

大手の真似をして消耗戦に陥るのではなく、「自分たちが勝てる、小さな、でも強力なポジション」を見つけて、そこで圧倒的な存在になること。

これこそが、個人事業主や小規模の法人が高い利益率でビジネスを続けるための極意です。

まずは白い紙を1枚用意して、あなたのビジネスの「5つの脅威」に対抗できる「4つのアクション」を思いつく限り書き出すことから始めてみませんか?

最後までご覧いただき、ありがとうございました。

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投稿者プロフィール

古賀 聡

広島県広島市の税理士。現在は、個人事業主・中小事業者(法人)の税務・経営の相談を中心に活動中。ブログ投稿を2020年10月1日に立ち上げ、税務・会計だけでなく、Excelマクロなどのアプリを使って業務の効率化や経営のちょっとしたコツなど、「小さな便利」記事を作成・投稿中。

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