「手元にお金がないのに、なぜ税金を払うの?」通帳残高と帳簿のギャップを解き明かすキャッシュフロー改善法

「決算書や確定申告書を見ると『利益』が出ていることになっている。」
「実際の口座残高を見るとスカスカ…でも、しっかりと税金の納付がやってくる」
こうした経験をして、
「何かおかしくないか?」
「なぜ手元にお金がないのに納税しなければならないのか?」と
強い違和感やモヤモヤを抱いたことはありませんか?
実は、帳簿上の「利益」と手元の「現金」が一致しないのは、会計ルールやビジネスの仕組みそのものに原因があります。
今回は、そのズレが生まれる根本的な理由と、事業を安全に続けていくためのキャッシュフロー改善法を分かりやすく解説します。
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なぜ「帳簿の利益」と「手元の現金」は一致しないのか?

「売上から経費を引いたものが、そのまま手元に残る現金になるはず」と考えがちですが、現実の会計はそうなっていません。
最大の原因は「お金の動き」と「売上・経費のカウント(計上)のタイミング」がズレていることにあります。
理由①:売上は「入金された時」ではなく「納品が完了した時」に発生する
日本の税務・会計ルールでは、原則として「実際にサービスを提供し、納品が完了した時点(発生主義)」で売上を計上します(例外もありますが…)。
- 例:12月に100万円の案件を納品し、請求書を出した(入金は翌年2月末)。
この場合、12月の時点で納品が完了しているので「100万円の売上」になり、その年の確定申告の課税対象になります。
しかし、あなたの手元には12月の時点では1円も入っていません。
「お金は入ってきていないのに、税金の計算対象には含まれてしまう」という現象は、このタイムラグから生まれます。
理由②:仕入れや経費、税金は「現金」で飛んでいく
売掛金(未回収の売上)の入金が1ヶ月、2ヶ月先になる一方で、日々の支払いは待ってくれません。
- 材料の仕入れ代金や外注費
- 店舗・オフィスの家賃や通信費
- 自分自身の生活費(事業主貸)
- 前年の利益に対してかかる住民税や国民健康保険料
これらは容赦なく「手元の現金」から引き落とされます。
つまり、売上(入金)は遅れてやってきます。
仕入や外注などの支払の場合だと、締めと支払のズレと同じです。
しかし、現金支払の経費や税金(出金)はすぐに現金で出ていくという構造になっています。
このズレが、帳簿上は黒字でも、一時的に手元の口座残高が減っているズレになります。
「手元にお金がないのに納税する」恐怖を放置するとどうなる?

「利益が出ているのに手元にお金がない」状態を放置すると、単に気分がモヤモヤするだけでなく、事業の存続に関わる重大なリスクを招きます。
これがいわゆる「黒字倒産(黒字休業)」です。
- 納税のためのお金が用意できず、追徴課税や融資に頼ることになる
- 大きな案件を受注したのに、仕入れや外注費の先行払いができず機会を失う
- 常に支払いに追われ、本業のパフォーマンスが低下する
税金は「現金」で納めなければなりません。
どれだけ帳簿上で大きな利益が出ていても、納付日に通帳に残高がなければ支払えずに、滞納になってしまいます。
だからこそ、「利益(損益)」を見るのと同時に、「現金(キャッシュフロー)」の動きをコントロールすることが極めて重要なんです。
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手元の現金を守り、安心してビジネスを続ける「3つの鉄則」

では、この「利益と現金のズレ」からご自身の身を守り、手元にお金を残すためにはどうすればよいのでしょうか。
今すぐ実践できる3つのアプローチを、簡潔にご紹介します。
①「資金繰り表」で将来のお金の流れを可視化する
単なる帳簿づけ(過去の記録)ではなく、今後3ヶ月〜半年先に「いつ、いくら入ってきて、いつ、いくら出ていくのか」を予測した「資金繰り表」を作成します。
誰にも見せないカレンダーに記載しても良いかもしれません。
事前にお金の動きを見える化しておけば、「再来月は一時的に残高が厳しくなるから、支払いを調整しよう」「税金の支払いに備えて今から〇〇万円プールしておこう」といった事前の対策が打てるようになります。
② 売掛金の回収サイクルを短く(速く)する:最強の方法
入金と出金のスピード差を縮める工夫を入れましょう。
- 前払いや着手金の仕組みを取り入れる
- 売上の請求から入金までの期間(入金サイト)を「翌月末」から「翌月15日払い」などに短縮できないか交渉する
入金スピードが早まるだけで、手元のキャッシュはかなり安定します。
この状態は、毎月の試算表で売掛金の数字の動きを見ると、直ぐに分かります。
③ 自分一人で抱え込まず、客観的な「第三者の目」を入れる
日々の本業に追われながら、過去の記帳だけでなく「未来の資金繰り予測」まで一人で正確に行うのは至難の業です。
また、「自分の事業のお金の使い方の癖」は、自分自身ではなかなか気づけないものです。
第三者の客観的な目を入れることで、「なぜお金が残らないのか」の根本原因を早期に発見できます。
まとめ:数字の「お医者さん」を味方につけて、安心できる経営を

「利益は出ているのに通帳にお金がない」という違和感は、あなたが事業を真剣に動かしているからこそ突き当たる必然の悩みです。
自分を責めたり、制度への不満だけで終わらせたりせず、「現金の流れを管理する仕組み」へと切り替えるしかありません。
キャッシュフローの悪化は、病気と同じで「自覚症状(残高不足)」が出た時には、手遅れになっているケースが少なくありません。
自分のビジネスの血液である「現金」が、今どう流れているかを毎月診断し、万が一の資金ショートを防ぐ対策を一緒に練ってくれるパートナー(顧問)をそばに置くことも一つです。
税理士だけではなく、全国に青色申告会や商工会議所など、各地で税務相談をしています。
でもまずは、本業に100%集中できる、健全な環境がどのような状態なのかを、考えてみて下さい。
そして、その状態を維持できるような習慣を身に付けてみて下さい。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
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投稿者プロフィール
古賀 聡
広島県広島市の税理士。現在は、個人事業主・中小事業者(法人)の税務・経営の相談を中心に活動中。ブログ投稿を2020年10月1日に立ち上げ、税務・会計だけでなく、Excelマクロなどのアプリを使って業務の効率化や経営のちょっとしたコツなど、「小さな便利」記事を作成・投稿中。








