「サラリーマンだって経費で落としたい!」国の税金制度をひっくり返した、ある大学教授の伝説の闘い

「自営業の友達(個人事業主)はパソコンもスーツも経費にしてるのに、なんでサラリーマンの俺は自腹なんだろう……」
そんなモヤモヤを感じたことはありませんか?
実は今から約40年前、この理不尽にブチギレて、国を相手に裁判を起こした熱いサラリーマンがいました。
その方の名は、大学で先生をしている大島教授。
この闘いはのちに 「大島訴訟(おおしまそしょう)」、別名「サラリーマン訴訟」と呼ばれ、現在の私たちが使える「特定支出控除(サラリーマンの経費特例)」を誕生させるきっかけとなった、歴史的な大事件です。
今回は、日本の税制の常識をひっくり返した「サラリーマン VS 国」のドラマチックな物語を、わかりやすく少しだけ漫画チックに解説します!
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目次
怒れるサラリーマンの叫び!「自腹で仕事の本を買う俺たちと、外国車を経費にする自営業、不公平すぎないか?」

コトの始まりは1970年代。
大島教授が、日々の仕事に追われながらふと気づきました。
「講義や研究のために、自腹で何冊も本(資料)を買っている。
学会の会費や参加費も自腹を切っている。
でも、税金の計算のときに、この本代を1円も『経費』として引けないのはどう考えてもおかしいのではないのか…!」と。
当時の日本の税制は、自営業者とサラリーマンで大きくルールが違っていたようです。
- 自営業者:
仕事に使ったお金は、パソコン代からカフェでの打ち合わせ代まで 「実費」 で経費にできていた。 - サラリーマン:
年収に応じて国が一律で決めた額(給与所得控除)しか引けない。
どれだけ自腹を切って勉強しても、給与所得控除という一律の枠を超えて経費に見合う金額にはできない。
大島教授は
「これは、すべての働くサラリーマンに対する差別だ! 憲法が保障する 『法の下の平等』に違反している!」
と立ち上がり、国を相手に裁判を起こしたのです。
これが伝説の 「大島訴訟」 の幕開けでした。
最高裁の冷徹な一言と、判決文に隠された「ツンデレな神対応」

裁判は最高裁判所までもつれ込み、日本中のサラリーマンが「俺たちのヒーロー、勝ってくれ!」と固唾をのんで見守っていたかもしれません。
そして1985年、最高裁が下した判決は……「国側の勝ち(原告敗訴)」 でした。
「やっぱりサラリーマンは国に勝てないのか……」と落胆した内容に見えました。
最高裁の言い分はこうです。
「サラリーマン全員の領収書を1枚ずつチェックしてたら、税務署の仕事がパンクしちゃうでしょ? だから、一律でドカンと引いてあげる『給与所得控除』は合理的なんですよ」と。
しかし! 物語はここで終わりませんでした。
最高裁は、判決文の最後に 歴史を動かす「ウルトラC」のメッセージ を隠していたのです。
「ただねぇ……。
もし給与所得控除の額をはるかに超えるような、めちゃくちゃ多額の自腹経費を払っているサラリーマンがいるとしたら……
それを一切無視して一律でしか税金を安くしない制度(給与所得控除)っていうのは、さすがに問題があるんじゃないかなぁ?」
それは、国に対して「サラリーマンにも、実費で経費申請できる逃げ道(特例)をちゃんと作ってあげなさい!」という、最高裁からの愛のある宿題(宿題という名の、事実上の命令)だったのです。
敗訴なのに大逆転!最高裁の「裏メッセージ」が国を動かし、9回裏逆転ホームラン!

この最高裁のツンデレな判決を受けて、国は動かざるを得なくなりました。
「裁判には勝ったけれど、このままサラリーマンを怒らせておいたらマズい。最高裁からも釘を刺されたし……」
こうして、判決からわずか2年後の1987年、所得税法が改正され、ついにサラリーマンが自腹を切った経費を税金から直接差し引くことができる新制度が誕生しました。
それが、「特定支出控除」 です。
たとえ裁判では負けても、大島教授が主張したことが、国の法律を書き換えさせたんです。
税理士の立場として見ると、まさに歴史的な大逆転劇です。
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【現代版】スーツ代も、勉強用の本代も!使いやすく進化した「サラリーマン経費」

誕生したばかりの「特定支出控除」は、実は条件が厳しすぎて「誰も使えない幽霊制度」と言われていました。
なぜなら、年間で日本全体で数人しか使えないレベルだったからです。
しかし、大島教授のようなサラリーマンたちの「不公平だ!」という声はその後も消えず、2013年に大幅なパワーアップ(大改正)を遂げました!
今では、以下のような支出が「会社の証明」があれば経費として認められるようになっています。
- 通勤費・転勤のための引っ越し代
- 仕事に直結する資格の取得費(弁護士、税理士、はたまた自動車免許まで!)
- 研修費(仕事のスキルアップのためのセミナー代など)
- 図書費(仕事に必要な本や雑誌、新聞代)
- 衣服費(会社で着るスーツ、ネクタイ、制服代)
- 交際費(得意先との接待や、職務に必要なプレゼント代)
(※ 上記の内容は、現時点の内容になり、変更されている可能性があるので、必ず確認して下さい)
これら自腹を切った合計額が、あなたの「給与所得控除額の半分(2分の1)」を超えた場合、超えた分をまるまる税金計算から差し引いて、所得税を安く(還付)してもらうことができます。
おわりに:私たちの「領収書」の裏には、先人の闘いがあります

普段、何気なく「スーツ代って経費にならないかなぁ」と思っているその不満。
実は40年前に、一人の熱い大学教授が懸命に国と戦ってくれたおかげで、今の「特定支出控除」という権利につながっています。
もし、あなたが今年、資格取得や仕事用のスーツ、本代でたくさん自腹を切ったなら、ぜひ「特定支出控除」を思い出してください。
それは、国の不条理に立ち向かったサラリーマンたちの闘いの結晶だからです。
(※実際の特定支出控除の適用には、会社(給与支払者)による証明書の作成や、確定申告が必要です。詳しくはお近くの税務署や税理士にご相談くださいね。)
最後まで、ご覧いただき、ありがとうございました。
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投稿者プロフィール
古賀 聡
広島県広島市の税理士。現在は、個人事業主・中小事業者(法人)の税務・経営の相談を中心に活動中。ブログ投稿を2020年10月1日に立ち上げ、税務・会計だけでなく、Excelマクロなどのアプリを使って業務の効率化や経営のちょっとしたコツなど、「小さな便利」記事を作成・投稿中。









