【解説】料理人のマルチタスクに学ぶ!ビジネスにおける「事務」と「営業」の極意

ビジネスの現場では、コツコツと進める「事務」から、お客様を対応する「営業」まで、日々さまざまな業務が求められます。
「やることが多すぎて、頭がパンクしそう…」
「優先順位をどうつければいいのか分からない…」
そんな悩みを解決するヒントは、実は「料理人の脳の働き」に隠されています。
厨房という戦場で、複数のオーダーを同時にさばき、すべての料理をベストな状態で提供する料理人。
そんな料理人は一体、どのような頭の使い方をしているのでしょうか。
ここでは、料理人のマルチタスク能力を紐解きながら、このマルチタスク能力が私たちの「事務」や「営業」にどのように共通しているのかを、私なりに深堀してみたいと思います。
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料理人のマルチタスク能力が持つ「真の凄さ」とは

厨房でテキパキと動く料理人を見ると、「同時にたくさんのことを処理できる特別な脳を持っているのでは?」と思えるかもしれません。
しかし、脳科学的には人間は複数のことを同時に深く考えることはできないとされているそうです。
料理人の凄さは、単に「同時にやる」ことではなく、以下の3つの高度な思考プロセスを頭の中で瞬時に行っている点だと考えます。
① 逆算思考
「すべてのお皿を、最も美味しい状態(熱々、あるいは冷たさ)で、同時にテーブルへ届ける」というゴールから逆算して計画を立てる能力です。
「パスタの茹で時間に9分、肉を休ませるのに5分、ソースを温めるのに2分かかるから、着手の順番は…」と、頭の中でタイムラインを組み立ててから動き出します。
② 動的な優先順位の書き換え
調理の途中で…
「急な追加オーダーが入った」
「お肉の火の通りが予想より早い」
といった予測不可能な変化が起きたとき、頭の中の手順(料理工程の順番)を瞬時に、そして柔軟に書き換えて優先順位を再構築します。
③ 「高速なシングルタスク」の切り替え
人間の脳は、厳密には2つのことを同時に深く処理できないということは、1つのことを素早く切替えているということになります。
つまり、料理人は、「目の前の作業(例:玉ねぎを炒める)」に集中しながらも、数秒単位で「全体の俯瞰(例:オーブンのタイマーを気にかける)」へと、意識のスイッチを高速で切り替えていると言えます。
目の前のことと全体像を、行ったり来たりするスピードが圧倒的に早いです。
用語解説
- マルチタスク
複数の作業を同時並行、あるいは短時間で切り替えながら処理すること。- シングルタスク
1つの作業だけに集中して取り組むこと。
料理人のマルチタスクは、実はこの「シングルタスク」をものすごい速さで切り替えることで成り立っています。
事務職との共通点:高精度なリソース管理と「仕込み」の技術

一見、デスクに座って静かに行う「事務作業」(会計処理や書類作成など)ですが、その本質は料理人の厨房管理と非常に似ている共通点を持っています。
① 定常業務と突発業務の同時並行
事務の現場では、月次の決算業務やデータ入力といった「じっくり時間をかけて進めるべき重いタスク(=煮込み料理)」の最中に、突然の電話対応や他部署からの急な書類作成依頼(=突発的なオーダー)が頻繁に入ります。
仕事ができる事務スタッフは、作業を一時中断する際にも、「今どこまで進めていて、どこで止めれば、用事が済んだ後に一番スムーズに再開できるか」を意識的に計算して動いています。
つまり、「頃合いが良いところ」という処理の節目を見極めているということです。
② 「仕込み(ミザンプラス)」によるリードタイムの短縮
フランス料理には「ミザンプラス」という言葉があるそうです。
これは、調理を始める前に、使う器具や食材、調味料をすべて完璧に準備しておくことを指します。
事務仕事における「仕込み」とは、例えば以下のような準備です。
- Excelのフォーマットを作っておいて次回以降に活用できるようにしておく
- よく使うメール文面をテンプレート化しておく
- 誰が見ても分かりやすいように、フォルダの整理整頓をしておく
この「仕込み」が徹底されているからこそ、繁忙期に大量の仕事(=急な大人数のオーダー)が重なっても、焦らず、品質を落とさずに、スピーディーに処理を完了させることができます。
用語解説
- ミザンプラス(Mise en place)
フランス語で「所定の場所に置く」という意味。料理の世界では「下準備」「整頓」を指し、仕事の効率を最大化するための極めて重要なプロセスです。- リードタイム
作業を開始してから、すべての工程を終えて完成(納品)するまでに要する時間(期間)のこと。
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営業職・顧客対応との共通点:複数案件の管理と「ライブ感」

お客様の信頼を獲得し、最適な提案を行う「営業・顧客対応」の仕事。
これもまた、料理人が「異なるテーブルの、異なる進行状況」を同時にコントロールするスキルと、共通点があります。
① 複数のお客様のフェーズ(進捗)管理
営業担当者は、同時に何十社ものお客様をサポートします。
- 「A社様は、まだ出会ったばかりの検討段階」
(=前菜のステージ) - 「B社様は、ご契約手前の最も重要な山場」
(=メインディッシュのステージ) - 「C社様は、ご契約後のアフターフォロー」
(=デザートのステージ)
このように、それぞれのお客様が、今どの段階(フェーズ)にいるのかを全体像として把握し、ベストなタイミングで適切なアプローチを行います。
これが滞ると、お待たせしすぎて熱が冷めてしまったり(=料理が冷める)、逆に提案を急ぎすぎて、警戒されてしまったり(=急いで調理して焦がしてしまう)という失敗に繋がります。
② 商談現場でのリアルタイムな軌道修正
お客様との面談や商談は、まさに「ライブ(一発勝負)」です。
対話の中で相手が見せる微妙な表情の変化や、ふと漏らした本音(=食材の焼き加減や、お客様の好みの変化)を素早く察知し、「あ、この提案はあまり響いていないな。別の切り口に変えよう」とその場で瞬時にアプローチを切り替えます。
これは、食材の状態を見極めながら、調味料の量や火力を数秒単位で調整する料理人の職人技と、まったく同じ脳の働きです。
まとめ:自分の仕事を「料理のプロセス」に置き換えてみよう

料理人のマルチタスク能力の凄さは、全体を見渡す「鳥の目(俯瞰)」を持ちながら、目の前の作業に集中する「虫の目(集中)」を、ものすごい速さで切り替え続けている点にあるのではないでしょうか。
仕事ができるビジネスパーソンほど、頭の中やデスク周りが「整理整頓された一流の厨房」のようになっています。
明日からの仕事に向けて、次のようなことを問いかけてみてください。
- 「今、自分のコンロ(処理能力)はいくつ空いているだろう?」
- 「どの仕事をじっくり弱火で進め、どの仕事を強火で一気に仕上げるべきか?」
- 「明日の仕事を楽にするための『仕込み(準備)』はできているか?」
業務をこのように「料理のプロセス」として捉え直すことで、日々の時間管理や業務効率が確実に変わるはずです。
ぜひ、できるところから試してみてください。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
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投稿者プロフィール
古賀 聡
広島県広島市の税理士。現在は、個人事業主・中小事業者(法人)の税務・経営の相談を中心に活動中。ブログ投稿を2020年10月1日に立ち上げ、税務・会計だけでなく、Excelマクロなどのアプリを使って業務の効率化や経営のちょっとしたコツなど、「小さな便利」記事を作成・投稿中。









