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簿記3級はスタートライン!経営者へステップアップ

2026年5月28日 最終更新日時 : 2026年5月28日 広島市の税理士 古賀

こんにちは。簿記3級の学習を終えられた皆様、誠にお疲れ様でした。

仕訳や帳簿の付け方など、最初は見慣れない用語に戸惑われたかもしれませんが、基礎を身につけられたことは、素晴らしい第一歩です。

実は、ここからが本当のスタートとなります。

簿記で「数字を正しく記録する」という確かな足掛かりを得て、経営のスタートラインに立たれた皆様へ、この記事ではその「知識」を実際の経営現場で活用できる「知恵(武器)」へとレベルアップさせる方法をお伝えいたします。

これからは、単なる「数字を記録する人」から、「数字で意思決定する人」へ。

勘や経験だけでなく、誰もが納得できる「数字という共通言語」を使って、仕事をさらに成長させていく「経営者の視点」を一緒に身につけてみて下さい。

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目次

  • 1 はじめに:経営者にとっての「数字」とはなんでしょうか?
  • 2 STEP ①:まずは自社の「現在地」を正確に把握する(現状把握と生存確認)
    • 2.1 数字を“毎月使う”仕組みを作る(最優先事項)
    • 2.2 手元に現金が残る仕組みと、利益が出る仕組みを徹底的に理解する
  • 3 STEP ②:数字を使って「未来」を創り出す(意思決定と戦略実行)
    • 3.1 「損益分岐点」を判断の軸にする
    • 3.2 未来の売上を予測する「KPI」を自分で作ってみる
    • 3.3 小さく試してみる「実験型事業」を取り入れる
  • 4 STEP ③:会社を成長させ、守り抜くための「攻め」と「守り」
    • 4.1 税金と資金調達の基本を身につける
  • 5 おわりに

はじめに:経営者にとっての「数字」とはなんでしょうか?

簿記の勉強では、「これまでの出来事(過去)」を正確に記録する方法を学びました。

次のステップで経営者に本当に求められるのは、「過去の記録を読み解くこと」、そしてそこから「未来を予測すること」です。

「今月は利益が出た」と喜ぶだけで終わってはいないでしょうか。

大切なのは、「なぜ利益が出たのか」「このままだと来月はどうなるのか」と、数字の裏側にあるストーリーを、ご自身の言葉で語れるようになることです。

数字を味方につけて、経営の舵取りを始めてみて下さい。

STEP ①:まずは自社の「現在地」を正確に把握する(現状把握と生存確認)

数字を“毎月使う”仕組みを作る(最優先事項)

せっかく学んだ簿記の知識も、普段の仕事で使わなければ忘れてしまいます。

まずは、数字を読み解く力を鍛えるための「仕組み」を作りをします。

習慣にしてしまえば自ずと理解もできてくるものです。

今まで費やした簿記の勉強の時間と努力を活かすために、先ずは、ここからです。

数字を“毎月使う”仕組みを作る

  • 毎月しっかり簿記を活かす習慣(月次決算)
  • 定点観測と異常値の発見
  • 数字を自分の言葉にする習慣

毎月しっかり簿記を活かす習慣(月次決算)

1年に1回の決算だけでは、もし途中で間違った方向に進んでいても、手遅れになるまで気づけません。

必ず毎月締めて(処理・計算しまとめる)、現状を確認する習慣を身につけてください。

これが現状の経営状態の健康診断となります。

定点観測と異常値の発見

毎月、PL(損益計算書:いくら儲かったか、または損したかを示す表)をチェックして、「先月と比べてどうか」「去年の同じ月と比べてどうか」と変化を追いかけます。

数字の変化から、いち早く異常に気づくことが大切です。

数字を自分の言葉にする習慣

数字を見たら、「なぜ売上が増えたのか」「なぜ経費が減ったのか」と、ご自身の言葉で説明できる(言語化する)ように練習してみて下さい。

数字の背景にある理由を「言語化」することは非常に重要です。

頭の中で何となく理解しているつもりでも、言葉にすることで初めて、客観的な事実に基づいたほんとうの原因が明らかになります。

誰もいない部屋や入浴中など、ブツブツと実際に言葉に出してくださいね。
身に付けるには、これが一番早いです。

そうすることで、数字の理由を自分自身が把握するだけでなく、従業員や金融機関など、他の人に説明できるようになります。

結果的に、周囲の理解や協力を得やすくなるという大きなメリットもあります。

💡 アドバイス ①
簿記3級は「正しく記録する」ためのルールです。ここからは、その数字の裏にどんなストーリー(原因や理由)があるのかを読み解く力が大切で、更に言語化して説明できるようになることが目標です。

手元に現金が残る仕組みと、利益が出る仕組みを徹底的に理解する

「計算上は儲かっているはずなのに、「なぜか手元にお金がない」「売上が上がれば絶対に儲かるはず」といった考えから抜け出して下さい。

「仕組み」の理解は、会社のお金が底をつくのを防ぎつつ、利益をしっかり出していくための重要項目です。

現金が残る・利益が出る仕組みを理解

  • 利益と現金のズレに注意(資金繰り)
  • 「ランウェイ」を意識する
  • 商品ごとの利益把握と「選択と集中」

利益と現金のズレに注意(資金繰り)

商品が売れても、実際にお客様から入金されるまでは、手元の現金は1円も増えません。

最低でも1ヶ月から3ヶ月先の「現金の動き」を予測する思考をもっておいて下さい。

「ランウェイ」を意識する

「ランウェイ」とは、会社が持っている現金が尽きるまでの期間のことです。

「もし明日から売上がゼロになったら、今の現預金で会社はあと何ヶ月生き残れるか」を常に把握しておくことで、気持ちの部分で余裕に繋がります。

商品ごとの利益把握と「選択と集中」

事業全体の数字だけでなく、「この商品はどれくらい利益が出ているか」「この商品を作るのにいくらかかっているか(原価率)」を商品やサービスごとに把握します。

しっかりと利益を出してくれている「稼ぎ頭」には力を注ぎます。

逆に、赤字が続いている事業は、勇気を持って見直す(すぐに「やめる」わけではなく、やり方を変える)といった「選択と集中」を行うことが必要です。

💡 アドバイス ②
経営において、利益は「計算上の数値」ですが、手元にある現預金は「嘘をつかない事実」です。自社の「一番の稼ぎ頭」をすぐに答えられるようにして、利益と現金の“両方”を追いかけることが会社の生命線になります。

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STEP ②:数字を使って「未来」を創り出す(意思決定と戦略実行)

「損益分岐点」を判断の軸にする

「あとどれくらい売れば、赤字から抜け出して利益がトントンになるのか」、これを感覚ではなく、数字でしっかり予測できるようにして下さい。

そのための指標となるのが「損益分岐点」です。

損益分岐点が判断軸

  • 目標となる「損益分岐点」
  • 費用の仕分け(変動費と固定費)
  • 価格を変えたときの影響を予測

目標となる「損益分岐点」

損益分岐点とは、売上と費用がまったく同じになり、利益が「ゼロ」になるポイントのことです。

この損益分岐点を超えれば黒字、下回れば赤字になります。

絶対に下回ってはいけない最低限の売上目標(損益分岐点)を計算して、明確にしましょう。

これが「最低限クリアすべき目標ライン」です。

費用の仕分け(変動費と固定費)

まずは、会社から出ていくお金を2つに分けます。

家賃などの「固定費(売上に関係なく毎月必ずかかるお金)」と、材料費などの「変動費(売上が増えれば一緒に増えるお金)」です。

価格を変えたときの影響を予測

安易な値下げがどれくらい利益を減らしてしまうか、逆に値上げがどれくらい利益を増やしてくれるかを、行動(値下げ・値上げ)する前に数字でシミュレーションしてみましょう。

根拠のない値下げ(値上げ)は大変危険です。

💡 アドバイス ③
「あと〇〇個売れば黒字になる」と自信を持って言える状態こそが、数字を使って経営の判断ができる経営者の証拠と言えます。

未来の売上を予測する「KPI」を自分で作ってみる

損益計算書(PL)は、あくまで「過去の成績表」です。

これからの経営には、未来の売上を創り出すための「先行きの目安となる数字」が必要です。

それが「KPI(ケーピーアイ)」です。

未来予測の自分専用「KPI」

  • 「KPI」で目標設定
  • 売上の仕組みを分解する
  • 毎週チェックする仕組み

「KPI」で目標設定

最終的な大きな目標に向かって、今どれくらい順調に進んでいるかを確認するための「中間目標」や「チェックポイント」のことです。

(例:最終目標が「体重を3kg減らす」なら、KPIは「毎日カロリーを1500kcalに抑える」「週に3回走る」など、日々チェックして行動を調整できる数字です)

【業種別のKPIの例】

  • 飲食業: 1日に席が何回転したか(回転率)、原価の割合、リピーターの割合など
  • EC(ネット通販): サイトを見てくれた人の数、サイトに来た人のうち実際に買ってくれた人の割合、広告費に対してどれくらい利益が出たかなど
  • 建設業: 見積もりを提出した案件のうちの受注率、職人さんの稼働率(現場に入っている日数の割合)、工事案件ごとの利益率(実行予算と実際の費用の差)など

売上の仕組みを分解する

売上は「客数 × 客単価」でできています。

さらに細かくすると、「お店を見てくれた人 × 買ってくれた人の割合」×「商品の値段 × 買ってくれた数」などに分けられます。

ここで重要なのは、ご自身の事業の特性を理解することです。

単価の低い商品を多くの方に販売するビジネスなのか、高単価な商品を少人数のお客様に販売するビジネスなのかなどによって、注目すべきKPIは大きく変わってきます。

まずは自社のビジネスモデルが、売上のどの要素に一番重きを置いているのかを見極めましょう。

定期的にチェックする仕組み

1ヶ月が終わってから「目標に届かなかった」と気づいても、その月を取り返すことはもうできません。

手遅れにならないよう、1ヶ月終わってから反省するのではなく、毎週(あるいは毎日)KPIに関する数字をチェックして、すぐに対策を打てるようにしましょう。

💡 アドバイス ④
今日から自分でコントロールできる「行動の数字(KPI)」を持つこと。それが、自分たちの力で未来の売上を作っていく力になります。

小さく試してみる「実験型事業」を取り入れる

色々な考え方があるのですが、私自身は、新しい事業やアイデアを試すとき、いきなり大金をかけて「一発勝負」をするのは大変危険だと考えます。

リスクを最小限に抑える方法をオススメします。

事業としての立ち上げの場合は、直ぐに資金が枯渇してしまうからです。

実験型事業で小さく始める

  • やめる基準・進める基準を決めておく
  • 失敗から学び、次に活かす(原因究明)
  • 試して改善するスピードを上げる

やめる基準・進める基準を決めておく

まずは小さく、できるだけお金をかけずに始めてみて、お客様の反応を確かめましょう。

始める前に、「これくらい利益が出たら本格的にやろう」「〇ヶ月やってみてダメならスッパリやめよう」というルールを事前に決めておきます。

「もう少しで…」だったり「あとちょっとだけ…」といった感情に流されないためです。

失敗から学び、次に活かす(原因究明)

もしテストがうまくいかなかった場合でも、ただ「失敗した」で終わらせるのはもったいない部分もあります。

「なぜ売れなかったのか」「どの部分に問題があったのか」を数字やお客様の反応から徹底的に分析してください。

もし、失敗の原因を究明して次のステップや新しいアイデアを見つけることができれば、最終的に収入の軸となる事業へ近づけるようになります。

試して改善するスピードを上げる

もしダメだったらすぐに撤退して傷を浅くし(損切り)、うまく行きそうなら準備していた資金をつぎ込んでビジネスの柱として拡大させていきます。

迅速な判断が求められます。

💡 アドバイス ⑤
簿記で身につけた数字の感覚を活かして、「こうすればうまくいく」という自社ならではの成功パターンを見つけ、成功できる仕組み(成功体験)を作ります。

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STEP ③:会社を成長させ、守り抜くための「攻め」と「守り」

税金と資金調達の基本を身につける

数字に強い経営者は、外部(金融機関や取引先など)から上手にお金を集める方法と、手元にしっかりお金を残す方法の両方を知っています。

税金と資金調達の基本

  • 攻め(資金調達)と守り(税金対策)
  • 金融機関の担当者と上手にお付き合いする
  • 「BS(貸借対照表)」と「PL(損益計算書)」で判断

「攻め(資金調達)」と「守り(税金対策)」

金融機関などからお金を借りる(融資を受ける)仕組みを知り、その借りたお金を元手にして、事業をさらにスピーディに大きくしていく方法を学んでください。

借金は必ずしも「悪」ではなく、成長のための推進力になるからです。

次に、守りの部分になる税金対策ですが、ルール違反(脱税)は絶対にしてはいけません。

法律で認められた正しい「節税」の方法を知って、一生懸命稼いだ大切なお金を手元にしっかり残して下さい。

金融機関の担当者と上手にお付き合いする

金融機関の担当者が、会社の「どこ(どんな数字)」を見ているのかを知っておくことが重要です。

また、担当者も一人のビジネスパーソンとして「目標(ノルマ)」を持っています。

例えば、金融機関の決算期(3月や9月など)の直前は、融資目標を達成するために「良い会社には積極的に融資をしたい」と考えるタイミングでもあります。

こうした相手の立場や心理を知り、普段から会社の良い状況も悪い状況も共有しておくことで、必要な時にスムーズな支援を引き出しやすくなります。

「BS(貸借対照表)」と「PL(損益計算書)」で判断

金融機関は主にこの2つの表を見て、お金を貸せるかどうかを判断します。

  • BS(貸借対照表): 会社に今、どんな財産(現金や備品)があって、どれくらい借金があるかを示す表。会社の「体力」を表します。
  • PL(損益計算書): 会社が1年間(または1ヶ月)で、いくら売り上げて、いくら費用がかかり、結果としていくら儲かったか(利益)を示す表。会社の「稼ぐ力」を表します。

これらを理解して、貸借対照表と損益計算書を、自分の言葉で説明できるようになり、金融機関と良い関係を築いて下さい。

簿記で勉強した知識が、この部分でも必ず活きてきます。

💡 アドバイス ⑥
売上を上げて稼ぐ力と同じくらい、「お金を手元に残す力」と「お金を増やす力」が、会社の寿命を大きく左右します。攻めも守りもバランスよく身につけてみて下さい。

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おわりに

簿記3級の知識は、経営という大海原を航海するための「コンパス」です。

最初は、見方(理解の仕方や使い方など)が難しく感じるかもしれませんが、ここから次のステップにつながっています。

毎日少しずつ数字と向き合うことで、「数字(簿記としての数値・KPIとしての数値)」に慣れてきます。

「BS・PL」を眺めながら簿記の知識は、必ず正しい方向へ導いてくれる心強い味方となります。

今日からぜひ、自社の数字を「未来を創る武器」として活用してみてください。

皆様のさらなるステップアップを応援しております。

最後まで、ご覧いただき、ありがとうございました。

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★ ★ ★


投稿者プロフィール

古賀 聡

広島県広島市の税理士。現在は、個人事業主・中小事業者(法人)の税務・経営の相談を中心に活動中。ブログ投稿を2020年10月1日に立ち上げ、税務・会計だけでなく、ExcelマクロやRPAを使って業務の効率化やWebサイトの構築など、「小さな便利」記事を毎週月曜日に作成・投稿中。

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