【令和9年導入】防衛特別所得税で手取りは減る?知っておきたい「復興特別所得税」延長の仕組みと給与計算の注意点

「新しい税金が始まるって聞いたけれど、私の給料からまた天引きされるのかしら……?」
「防衛費を増やすための増税って、結局いつから、いくら引かれるのだろう?」
ニュースなどで耳にすることが増えた「防衛特別所得税」。
負担が増えることに対して、不安や疑問を感じている方も多いのではないでしょうか。
実はこの税金、これまでの増税とは少し違ったアプローチがとられています。
「制度がスタートしても、毎月の手取り額はすぐには変わらない」という仕組みになっています。
「増税なのに手取りが変わらないとは、一体どういうことなのでしょうか?」
そう疑問に思われた方のために、国税庁が公表した最新ガイドラインをもとに、この新しい税金の仕組みを、できるだけ分かりやすく解説します。
スポンサーリンク
目次
「いつから始まる?私の給与も対象?」知っておきたい新税の正体とスタート時期

防衛特別所得税(仮称)は、日本の防衛力を抜本的に強化するための財源を確保するために新しく作られた税金です。
新しい独自の税金として徴収されるのではなく、「私たちが普段納めている所得税に一定の割合を上乗せして支払う」という仕組みがとられています。
気になるスタートのタイミングは以下の通りです。
- スタート日:
令和9年(2027年)1月1日 以降に生じる所得から適用
サラリーマンの場合は原則として、令和9年1月1日以降に支給(または支給日が定められている)される給料やボーナスから適用が始まります。 - 対象になる人:
所得税を納めているすべての個人(会社員、公務員、フリーランス、パート・アルバイトなど、所得税を納税している方全員が対象です)
下記に、国税庁の防衛特別所得税について記載されたホームページを載せておきますので、ご参考にして下さい。
国税庁:「防衛特別所得税及び復興特別所得税の源泉徴収のあらまし」(令和9年1月以後の源泉徴収)
「増税なのに手取りが減らない」は本当?負担を抑える「スライド調整」の全貌

防衛特別所得税の税率は「1%」です。
ここで誤解しやすいのが、「年収の1%が引かれるの?」という点ですが、そうではありません。
対象となるのは、年収ではなく「所得税額の1%」です。
そして、スタート時に手取りが減らないと言われる理由は、東日本大震災の復興財源である「復興特別所得税」との「セット調整」にあります。
支払う側の負担を均らす「スライド合体」の図式
国は、家計への急激な負担を避けるため、既存の復興特別所得税の税率を下げ、その分を防衛特別所得税にスライドさせる調整を行います。
| 期間 | 復興特別所得税率 | 防衛特別所得税率 | 上乗せされる合計税率 |
| 現在 〜 令和8年末まで | 2.1% | 0.0% | 2.1% |
| 令和9年1月1日 〜(新制度) | 1.1% | 1.0% | 2.1% |
このように、復興特別所得税が 1.1% に引き下げられ、そこに防衛特別所得税 1.0% が上乗せされるため、 トータルの上乗せ率は 2.1% のままで変わりません。
実際の計算イメージ
上乗せされる税額 = 所得税額 × 2.1%(復興 1.1% + 防衛 1.0% )
たとえば、各種控除を引いた後の最終的な所得税額が10万円の方の場合、上乗せされる税金は2,100円です。
この場合、これまで(復興特別所得税のみの時)と全く同額になります。
そのため、「令和9年1月になったからといって、いきなり手取りが減るわけではない」ということになります。
スポンサーリンク
【知っておきたい】「負担は変わらない」の言葉の背景にある長期的な仕組み

「それなら、ひとまずは安心ですね」と感じるかもしれませんが、ここには「時間差による負担の移行」という制度設計が隠されています。
実は、復興特別所得税の税率を引き下げて防衛費に回す分、震災復興に必要な財源を確保するための期間が後ろに延びることになりました。
当初は令和19年(2037年)末で終了する予定だった復興特別所得税の課税期間が、10年間延長されて「令和29年(2047年)12月31日まで」に変更されました。
つまり、「毎月の天引き額は変わりませんが、天引きされる期間が10年も長くなる」というのが、この制度の長期的な影響です。
生涯にわたって支払う税金の総額は、実質的に増えることになります。
まとめ:目の前の「現状維持」に安心せず、中長期のマネープランを見直そう

防衛特別所得税は、防衛費を確保するための新たな増税策ですが、「復興特別所得税の引き下げ」とセットにすることで、スタート時の負担感を徹底的に和らげる設計になっています。
そのため、令和9年1月になったからといって、いきなり生活が苦しくなるような急激な変化は起きません。
企業の実務担当者にとっても、毎月の天引きや年末調整の計算倍率(102.1%)そのものは変わらないため、実務上の大きな混乱は避けられるかもしれません。
しかし、「課税期間が10年延びる = 生涯の税金負担が増える」という事実は変わりません。
「手取りが変わらないから大丈夫」と捉えるだけでなく、これを機に自分や家族の10年、20年先を見据えたライフプランや資産形成について、改めて考えてみてはいかがでしょうか?
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
スポンサーリンク
★ ★ ★

投稿者プロフィール
古賀 聡
広島県広島市の税理士。現在は、個人事業主・中小事業者(法人)の税務・経営の相談を中心に活動中。ブログ投稿を2020年10月1日に立ち上げ、税務・会計だけでなく、Excelマクロなどのアプリを使って業務の効率化や経営のちょっとしたコツなど、「小さな便利」記事を作成・投稿中。









