フリーランス必見!インボイス制度の基本と影響
<目次>
フリーランスに問われるインボイス制度
インボイス制度は、フリーランスにとって大きな影響を与える制度です。適切な対応をすることで、トラブルを防ぐことができます。
インボイス制度が導入されると、事業者は消費税を適切に計算し、請求書にその内訳を明記しなければなりません。この制度は、特にフリーランスにとって重要です。なぜなら、インボイス(適格請求書)を発行できない場合、取引先が消費税を支払ったという仕入税額控除を受けられなくなるため、仕事を失う可能性があるからです。
たとえば、デザインのフリーランスがインボイスを発行できない場合(免税事業者)、クライアント(発注者)はその消費税分を支払ったものとして控除できないため、他のインボイス対応業者(課税事業者)に仕事を依頼することがあります。つまり、免税事業者ではなく、課税事業者に仕事を依頼するということです。
インボイス制度(正式名称:適格請求書等保存方式)にしっかり対応し、請求書の内容を適切に記載することで、フリーランスとしての信頼を高め、仕事を失うリスクを減らせます。
フリーランスのインボイス制度とその影響
インボイス制度が導入されることで、フリーランスは何らかの影響を受けることが予想されます。しかし、その内容(インボイス制度の影響)を理解していないと、予期せぬトラブルに巻き込まれる可能性があります。
多くのフリーランスが、自分が発行する請求書の形式(書式、一定の要件があります)に関心を持っていない場合、クライアントからの信頼を失うことがあります。特に、インボイス制度に対応していない請求書では、クライアントが消費税を控除できなくなるため、ビジネスチャンスを逃す恐れがあるのです。発注する側は、細かいことについては、何も言ってくれないのが現状です。そのため、自身で情報収集して、インボイス制度に対応している請求書の書式を確立する必要があります。
インボイス制度を理解し、適切な形式で請求書を発行することが大切です。免税事業者の場合、必要に応じて税務署に登録し(適格請求書等発行事業者の登録)、インボイスを発行できる資格を持つことがフリーランスにとって重要です。しかし、消費税の免税事業者でありながら、わざわ課税事業者になる必要性が無い場合は、今一度考える必要があると考えます。
ともあれ、まずはインボイス制度を大枠でもイイので理解し、インボイス制度に適切に対応することで、フリーランスとしてのビジネスが安定し、今後も継続的な取引が期待できるようになってきます。
本体価格と税込み価格(消費税等の総額表示)
何かを購入する場合、消費税を含まない本体価格と消費税を含んだ税込価格が混在しています。
を理解することは、ビジネスでの誤解やトラブルを避けるために重要です。
消費税等の総額表示が義務化されている現在、請求書や見積書には、税込価格を明記しなければなりません。これにより、消費者が支払うトータル金額が明確になるため、ビジネスでのトラブルを防ぐことができるという「総額表示」という考えがあります(法制化されています)。特にインボイス制度導入後は、税抜価格と税込価格をしっかり区別し、適切に表示する必要があります。
たとえば、税込価格が表示されていない場合、消費者は実際に支払う金額を勘違いする可能性があります。なぜなら、税込価格で表示されていないという事は、本体価格のみであり、追加で消費税が10%加算(あるいは8%加算)されて、実際の支払金額が多くなるためです。税込価格と税抜金額を誤って伝えると、後で追加で請求が発生し、クレームの原因にもなります。
本体価格と税込価格をしっかり理解し、明確に表示すること(区分すること)が、仕事を受注し信頼性の高い取引を行うための第一歩にもなりかねません。
契約書の内容について気を付けること
契約書の内容をしっかり確認せずにサインしてしまうと、後で不利な条件に悩まされることがあります。このケースは、税理士として実務をしている時、頻繁に出くわします。なぜなら、フリーランスの方々が、インボイス制度のポイントを理解していない事が、その理由になります。
契約書は一度サインをすると、後から変更するのが難しいものです。例えば、料金や納期に関する項目が曖昧だった場合、後で追加の料金が発生したり、納期が大幅に遅れることもあります。特に、インボイス制度に関する項目が記載されていない場合、トラブルの原因になりかねません。追加料金は税込金額か税抜金額かで、支払側(発注者側)は10%(あるいは8%)を追加で支払うかどうかと直結します。複数の金額を取引先に支払う場合を考えると、事業の運転資金を圧迫しかねない金額だからです。
契約書にサインする前に、その内容を十分に確認することが重要です。特に、料金、納期、インボイス制度に関する項目は、必ずチェックするべきポイントです。必要に応じて、弁護士や担当税理士などの専門家に相談することも有効です。
ついつい相手を信じて見過ごしてしまいがちな契約書の内容を、しっかり確認しておくことで、トラブルを回避し、円滑なビジネス関係を築くことができます。契約書なので、言うべき事はハッキリ言いましょう。たとえ相手が強い口調で声を抗っていたとしても、自身の事業を守るという意味もありますので。
免税業者のメリットと課税事業者のメリット
免税業者と課税事業者には、それぞれのメリットがあり、どちらを選ぶかは自分のビジネススタイルによって決まります。
免税業者は消費税を納める必要がないため、手続きが簡単で、事務作業などの時間やコストが抑えられます。一方で、課税事業者は、消費税をクライアントに請求できるため、信頼性が高まり、大規模な取引先との仕事がしやすくなります。そして、インボイス制度に対応するには課税事業者である必要があります。同時に、消費税の課税事業者であるため、言わずもがな消費税を納める必要があります。
例えば、小規模事業で免税業者を選択できる方は、消費税の計算の手間や消費税の細かいルール(課税取引、非課税取引、免税取引など)を確認する必要がなく、手間暇時間を削減することができます。他方で、大手企業と取引するフリーランスは、課税事業者としてインボイス制度に対応することで、信頼性を高めることが可能です。
元々、免税事業者の立場の場合は、免税事業者と課税事業者のそれぞれのメリットを理解し、自分のビジネスに合った選択をすることが大切です。
まとめ
インボイス制度や消費税に関する知識を持つことで、フリーランスとしてのビジネスを円滑に進めることができます。
インボイス制度は消費税の適正な徴収と納付を目的とした制度です。フリーランスにとっては、課税事業者として登録するか、免税業者としてのメリットを活かすかが大きな判断材料となります。同様に、総額表示のルールを守ることで取引相手との信頼関係を維持することが重要です。
例えば、インボイス制度に対応することで、大手クライアントとの取引が継続しやすくなり、長期的な契約が結びやすくなります。また、免税業者としてのメリットを活かし、経費を抑えながらビジネスを展開することも可能です。
インボイス制度への理解を深め、適切な対応を取ることで、フリーランスとしてのビジネスを、ぜひ成功させてください。
最後まで、ご覧いただき、ありがとうございました。
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投稿者プロフィール
古賀 聡
広島県広島市の税理士。現在は、個人事業主・中小事業者(法人)の税務・経営の相談を中心に活動中。ブログ投稿を2020年10月1日に立ち上げ、税務・会計だけでなく、ExcelマクロやRPAを使って業務の効率化やWebサイトの構築など、「小さな便利」記事を毎週月曜日に作成・投稿中。
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