【年末調整(事業主側編)】

画像:令和5年分の「扶養控除申告書」

今年も続々と、
年末調整の資料(封筒により郵送)が税務署から届いています。
この年末調整の資料が郵送されてくると、
もうすぐ今年も残りわずかですよという
「虫の知らせ」であり、「年の瀬」が近いと感じます。

税理士として、日常業務に追加される年末調整業務は、
多忙になり苦痛にもなります。
同様に、法人・個人事業主問わず、
「源泉徴収義務者」として通常業務に追加される業務です。
この「源泉徴収義務者」について見て行きます。

事業者(法人・個人事業主を問わず)は
締日の一定の期間について、
役員・従業員・パート他(青色専従者を含む)の
働いてもらった金額(支給金額)を計算し、
同時に
・社会保険
・雇用保険
・源泉所得税
・住民税
・その他の給与天引き金額(控除金額)
を計算します。
支給金額から控除金額を差し引いた手取り金額を、
役員・従業員・パート他にお渡しします。
この一連の給与計算という作業を行う場合、
支給金額は人により異なり、
その支給金額に連動して控除金額が異なります。
異なる支給金額に応じて、
異なる源泉所得税の金額を
適切に天引きしなければなりません。

このように適切に計算を行う事業者を
「源泉徴収義務者」と言います
(かなりザックリですが・・・)。
給与計算担当者(あるいは計算をしている従業員やパート)
という意味ではなく、
給与を支給している事業者という意味です。
この事業者は個人事業主では
代表者(事業の申告をする人)であり、
法人(会社)では代表取締役となります。

源泉徴収義務者は
各年度の「源泉徴収税額表」を参照して
源泉所得税を計算するので、
天引きされる源泉所得税は
多くもありませんし少なくもありません。
給与ソフトを導入している場合は、
自動で金額を計算されるので、
間違いがありません。

参照 国税庁HP:「令和5年分源泉徴収税額表」
URL:https://www.nta.go.jp/publication/pamph/gensen/zeigakuhyo2022/02.htm

もし間違っていたとしたら、
扶養親族の人数がその都度変更されていないか、
扶養親族の状況(障害者や年齢:生年月日)を
把握できておらず、
設定が間違っている場合がほとんどです。
また、古い給与ソフトのアップデートが
追い付いていないなどの原因も考えられます。

従業員等の個人的な状況を
把握しなければならない源泉徴収義務者は、
それなりに大変な業務だと思います。
聞きにくい他人の個人的なコトも
聞かなければなりません。

上記のよう毎月計算された
各金額(支給金額・控除金額)を、
各月の給与明細書に記載し、
更に各人別に記載し給与台帳として作成してます。
1月から12月まで給与計算が終わり
給与台帳を作成すると、
最後の処理として年末調整の計算をします。

この時に必要な書類が「扶養控除申告書」などです。
年初や年中で、
個人的な扶養の人数や扶養親族の状況が変更したりしても、
最終的に12月31日時点の状況で、
扶養親族の控除金額が決まります。

仮に、
多く源泉所得税を取りすぎている場合は、
「年末調整還付金」として返金し精算されます。
少なく源泉所得税を徴収している場合は、
「年末調整徴収金」として源泉所得税を追加で徴収され
精算されます。

このように、年末調整をする場合は
必ず控除金額を計算するために
「扶養控除申告書」の提出が必要です。
もし、「扶養控除申告書」が提出されない場合は、
毎月の徴収する源泉所得税の金額も異なります。
「源泉所得税表」に記載されているのですが、
徴収する金額には「甲欄」と「乙欄」があり、
「甲欄」で天引きする金額では引けず、
「乙欄」で天引きする金額を計算しなければなりません。

仮に「乙欄」の場合、
徴収しなければならない源泉所得税の金額は、
「甲欄」の源泉所得税の約2.5倍以上になります。
せっかく働いてもらっているけど、
源泉所得税が天引きされてしまい、
手取り金額が大幅に減ります。
そう考えると、
「扶養控除申告書」をもらっておくコトは重要になります。

ただし、副業でアルバイトをしているなど、
メインの収入先(勤務先)ではない事業者は、
「扶養控除申告書」をもらうコトはできず、
「乙欄」て計算しなければなりません。
副業でアルバイトをしている人には、
こういった内容を事前に伝える必要も出てきます。

わざと少なく払っているのではないので、
お互いの誤解や誤認識を解消するためにも
源泉徴収税には「甲欄」「乙欄」の2種類について
説明するコトをオススメします。

上記のように、
年末調整の業務で「扶養控除申告書」が重要なのですが、
まだあります。
・「基礎控除申告書兼配偶者控除等申告書兼所得金額調整控除申告書」
・「保険料控除申告書」
です。
自宅の住宅ローンが有る場合は
・「住宅借入金等特別控除申告書」
があります。

これらの書類がそろって、
年末調整の業務が完了することになります。
上記3つの各申告書については、
下記の国税庁ホームページを参照してみて下さい。

参照 国税庁HP:「各種申告書・記載例(扶養控除等申告書など)」
URL:https://www.nta.go.jp/users/gensen/nencho/shinkokusyo/index.htm

少人数で事業を行っている事業者の場合は、
ほぼ代表者が担当します。
売上を上げるために営業し、
事業を継続するために資金を管理し、
社内のさまざまな管理の一つとして給料を計算し・・・、
代表者はやるコトが沢山あります。

源泉徴収義務者という立場で処理する業務は、
給料計算を通じて労務管理に影響を及ぼします。
少しでもその立場や内容について理解して頂ければ幸いです。


投稿者プロフィール

古賀 聡

広島県広島市の税理士。現在は、個人事業主・中小事業者(法人)の税務・経営の相談を中心に活動中。ブログ投稿を2020年10月1日に立ち上げ、税務・会計だけでなく、ExcelマクロやRPAを使って業務の効率化やWebサイトの構築など、「小さな便利」記事を毎週月曜日に作成・投稿中。

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