【帳簿処理はシンプルに考える】
<目次>
写真:帳簿処理のイメージ
作業に追われる前に、グループ分けで全体を理解
帳簿の処理について、
得意な人と苦手な人がいます。
得意な人は、性格的に合っているコトがよくあり、
日々の記録をとるコトが好き、
お金が好き、
パソコンを使うのが好き、
数字を扱うのが好き・・・などなど。
苦手な人は、性格的に合わず、
細かい処理、
淡々とした処理などに億劫になったりします。
処理が細かすぎて、
最終地点の「決算書」が見えずらいため、
後回しになっているコトもあります。
個人的に「面倒くさい」という理由は、
十分な理由だと考えています。
私自身、自社の帳簿処理も「面倒くさい」と
思うからです。
他人を責めるコトはできません。
そんな時、
目の前の処理ではなく、
各処理をグループ分けして、
各グループの処理頻度や処理方法を工夫してみると、
今何をしているのかスッキリします。
事業(法人・個人事業主の両者)をしている限り
決算書は必要となり、
避けては通れないコトのため、
早めに慣れておく必要があると考えます。
全体を理解したら、個別の処理
法人(会社)や個人事業主を問わず、
帳簿処理には、
6種類のグループに分けられます。
現金、預金、売上関係、支払関係、給与関係、その他
の6種類です。
①現金の処理 ※※※※※※※※※※※※※※※※※
現金で支払った領収書の帳簿処理は、
全ての事業者で共通している処理です。
売上金額を現金でもらった場合も、
日々の帳面に記録しているので、
この帳簿処理も必要です。
②預金の処理 ※※※※※※※※※※※※※※※※※
通常、普通預金を口座開設し、
通帳(紙媒体・電子媒体に共通)を記帳し、
取引内容を帳簿処理する答えが
記載してあります。
ネットバンクの場合は、
取引の明細書を元に
帳簿処理するのですが、
答えが記載しているコトは同様です。
③売上に関する処理(売掛金)※※※※※※※※※※
自社が作成した請求書について、
売上金額を処理します
(帳簿の処理の前に、
「請求書を作成して、
会社控えとして請求書(控)を
準備する」という処理もありますが)。
④支払に関する処理(買掛金・未払金)※※※※※※
売上に直接関係する支払(売上原価)の請求書、
間接的に支払う請求書(販売費及び一般管理費)
の請求書に分けられます。
売上に直接関係する請求書は
「買掛金」で帳簿処理するコトがほとんどです。
売上に直接関係しない請求書は
「未払金」で帳簿処理します。
⑤給与に関する処理 ※※※※※※※※※※※※※※
法人の場合は、
一人社長でも給与計算し
役員報酬として帳簿処理します。
個人事業主の場合は、
生活費として給与計算をしません。
この部分は、個人事業主の方が
「給与計算をする」という「ひと手間」が
少ない分だけ楽だと思います。
給与計算した内容を帳簿処理します。
⑥その他の処理 ※※※※※※※※※※※※※※※※
各事業内容により、
さまざまな取引内容があります。
そのため、
上記5種類以外の取引として考えると
グッと楽になります。
個別処理の頻度とタイミング
グループ分けした後、
各処理の頻度はどのくらいで行えばよいか、
です。
①現金の処理頻度 ※※※※※※※※※※※※※※※※※※
可能であれば、
支払したらその翌日には処理したいのですが、
時間的な余裕が無いのが通常です。
そのため、
1週間に1回ぐらいの頻度で処理をすると、
後々が楽になります。
最低でも月に1回は処理してください。
処理しなければならない
「領収書の束」を見るだけで、
やる気は確実に削がれますよ。
②預金の処理頻度 ※※※※※※※※※※※※※※※※※※
通帳(ネットバンクの場合は取引明細)に
答えが記載しているので、
現金の処理頻度より少なくなります。
ただし、
事業の資金繰りを考えても、
現在の残高を確認できるようにしておくコトは
かなり重要となります。
個人事業主の場合は、
スマホ通帳があり便利で、
ほとんどの金融機関で無料で提供されています。
③売上に関する処理頻度 ※※※※※※※※※※※※※※※
請求の締め日に依ります。
仮に、月末1回の締め日の場合は、
月初めに請求書を作成後、
その処理の流れのまま帳簿処理まですると、
スムーズに進みます。
④支払に関する処理頻度 ※※※※※※※※※※※※※※※
こちらも支払先の請求の締め日に依ります。
ただし、売上の請求書と違って、
支払先が作成してから届くので数日かかります。
仮に、月末1回の締め日の場合は、
翌月の中旬までには届くコトがほとんどです。
そのため、
売上の帳簿処理と同様に
最低月1回の頻度になります。
⑤給与に関する処理頻度 ※※※※※※※※※※※※※※
給与の締め日と支払日に依ります。
役員や従業員の給与計算は、
仮に、15日締・当月末支払の場合、
計算する処理日数は15日です。
締め日と支払日に
出来るだけ間隔をあけるコトで、
計算する時間を確保するコトができます。
また、事業の資金繰りを考えて、
売上の入金日の後にするコトを
お勧めします。
給与は月1回のため、
同様に月1回の頻度になります。
⑥その他の処理頻度 ※※※※※※※※※※※※※※※※
都度の処理となります。
忘れない内に処理するコトをお勧めします。
時間が経つとドンドン忘れてしまいますよ。
グループを集計したものが試算表・決算書(注意点も)
処理の内容を6グループに分けましたが、
6グループの内、
月1回は預金・売上・支払・給与の4グループです。
現金の処理頻度が高めで、
その他の処理の頻度は直ぐに処理する、
ぐらいになります。
処理のパターンに慣れてくれば、
処理するタイミングが分かってきて、
また、処理する頻度も少しずつ変更して、
月1回でも可能になります。
また、そうしたいものです。
気を付けて欲しいのは、
現金の領収書だけでは取引内容が思い出せず、
何に使ったか分からなくなる場合があります。
領収書の但書に記載があればイイのですが、
記載が無い場合は、
ご自身で分からなくなる前に記載する
といった工夫をしてみて下さい。
6種類のグループを全て帳簿に反映した場合、
試算表が完成します。
ここで、よくあるのが
「現金の残高が多い」という現象です。
領収書をもらい忘れなどにより、
支払金額に誤差がでて、
思っていたより多いコトがほとんどです。
(こんなに現金ないよ!というコトに)
現金の管理(=領収書の管理)の
難しい部分です。
事業として支払っているけど、
領収書が無い場合
(自動販売機で飲料を購入するような場合)は、
「支払明細書」を使用して
領収書代わりに記載・保管する必要があります。
ただし、
支払明細書は最終手段だと考えて、
必ず領収書をもらう癖をつけて下さい。
結局はコツコツと淡々と
事業を立ち上げて直ぐのときは、
慣れない処理ですが、
6種類のグループに区分して、
それぞれの種類のタイミングで
処理するコトに慣れてくれば、
毎月の恒例行事として淡々と処理すれば、
無理もなく、漏れも少なく(極小化)なります。
また、試算表を見て、
現状が良い方向に向かっているか、
悪い方向に向かっているかが
分かるようになれば、
なおさら習慣にしたいものです。
結局、コツコツやるだけです。
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投稿者プロフィール
古賀 聡
広島県広島市の税理士。現在は、個人事業主・中小事業者(法人)の税務・経営の相談を中心に活動中。ブログ投稿を2020年10月1日に立ち上げ、税務・会計だけでなく、ExcelマクロやRPAを使って業務の効率化やWebサイトの構築など、「小さな便利」記事を毎週月曜日に作成・投稿中。
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