【不動産の購入(賃貸から自己所有へ)】

事業が安定してくると、
本社を置いている事務所について、
賃貸を継続するのか、
購入して事務所を構えるのか。
自社の事務所について考えてみます。

画像:自社ビルのイメージ

会社を経営し、事業が安定してくると、
経費の見直しも必要になってきます。
そのうち、事務所家賃や月極の駐車場代があります。
もちろん、事務所を必要としない業種、
駐車場を必要としない業種もあるでしょう。

建設業では現場・取引先訪問など、
私たち税理士業では関与先訪問や資料提出など、
日頃からクルマを使います。
そのクルマを止めておくための駐車場は必要となってきます。
そのために支払う駐車場代も毎月かかってきます。

開業して間もない場合は、自宅を事務所にしているこ場合が多く、
自宅使用分と事業使用分に区分して、事業使用分を経費計上することになります。
自宅とは別で事務所や倉庫・駐車場を賃貸した場合と比べ、
支出をかなり抑えることができます。
「小さく」始めて、「大きく」していく、パターンです。

さて、この駐車場代や事務所家賃、
毎月支払うよりも物件(土地あるいは土地・建物)を
購入した方がいいんじゃないか・・・と考えることがあります。
あるいは、
「小さく」始めて少しづつ「大きく」なってきたので、
今の手狭になってきた事務所を移す場合などもあります。
月極の駐車場の地代や毎月の事務所の家賃など
毎月一定金額(固定費)を支払って、
最終的には資産にならない、
つまり、事業をやめない限り、この先ずっと続くということ。
この支払金額を資産購入資金に充てる事ができないかどうか・・・
そして、ある一定の時期になると、
「毎月一定の支払を止める」ことができないかどうか・・・

ではどのぐらいの金額の物件が購入できるでしょうか?

まずは、事務所としての平米面積(坪面積)がどれくらい必要か。
この場合、目安として今後の5年間事業を続けたら
どれぐらいのスペース・空間が必要になってくるかを考えてみてください。
そうすることで、必要な平米面積が見えてきます。
(この「5年間の事業を続けたら」とサラッと言っていますが、結構考え込む内容です。)
(そのため、ここでは、「サラッと」考えてください。)

探している地域により平米面積あたりの金額は様々なので、
一概には言えませんが、広告やネットなどに出ている物件の金額を
「平米面積あたり」に換算してみてください。
(不動産業で土地・建物を売買する時は坪単価をよく使います。)
そうすると、ザックリですが必要な資金が見えてきます。
ここで、次の計算式が成り立ちます。

「事務所として必要な平米面積数×平米面積あたりの単価=購入資金」

この計算式に当てはめて購入金額を計算してみてください。
概算ではありますが、実現可能性かどうか検討できる購入金額が割り出せます。

次に、
自己資金で購入資金を準備できればいいのですが、
ほとんどの場合、銀行からのお金を借りて購入することになると思います。
購入資金の全額を銀行が貸してくれるでしょうか?
貸してくれる銀行もあればそうでない銀行もあります。
できれば頭金になる金額を準備しておいた方が、
後々楽になるのは間違いありません。
でも、借入金の返済計画を立てて計画が成立する場合は、
全額を銀行から借りることも可能だと思います。

銀行から借りたときの条件について考えてみましょう。

通常、不動産を購入した場合、
事業の通常資金にあてるお金(運転資金)と違い、
設備資金として使うお金となり、
借入期間は、7年から10年になります。
(事業の運転資金は、3年から5年が通常です。)
金額の大きさだったり、銀行との取引期間の長短で、
借入期間が変わってくることがあります。
借入の金利も同様で、業種や社歴によりさまざまです。
特に決算書の内容が良い場合は、
より有利な低金利で借りることができます。
下記に、1千万円を銀行から借入した場合の
シミュレーションを記載します。

借入金額10,000,000円
返済期間10年(120ヶ月)
年利息2.00%
①月額返済額(元金均等)83,000円(年間:996,000円)
②月額利息額(元金均等)約16,666円(年間:200,000円)
銀行に支払合計(①+②)約99,666円(年間:1,196,000円)

いかがでしょうか?
年間事務所家賃で1,200,000円支払っている場合は、
10,000,000円の物件を購入した場合は、
ギリギリですが資金は回ることになります。
(固定資産税や管理費などは考慮していないため。)
この試算に合う良い物件が見つかった場合、
ぜひ検討してみて下さい。

ただし、無理してまで購入のは禁物です。
現状の事業が手狭でなくて、継続可能な場合は、
現在の事務所・駐車場でもやっていけることになります。

次に、不動産を購入する時に必要な支払をざっと見てみましょう。

一回だけの支払は・・・
不動産購入資金
不動産取得税(マンションなどは支払が無いことも)
固定資産税の清算金
仲介手数料
登記手続手数料(司法書士の支払)など。

毎年(毎月)の支払は・・・
固定資産税
管理費・修繕費(マンション等の場合)
借入金の元金(借入金による不動産を購入した場合)
借入金の利息(借入金により不動産を購入した場合)
地域により町内会費など継続して支払う必要が出てくる場合があります。
ここで、賃貸の場合と自己所有の場合をまとめてみました。

【自宅・賃貸の場合】【自己所有の場合】
支払内容事務所家賃駐車場代借入金の返済元金
借入金の返済利息
固定資産税
(管理費・修繕費 等)

表のように、
現在支払っている事務所家賃・駐車場代の金額が、
購入後の金額と同等あるいはそれ以下であれば、
不動産の購入は検討してみてはいかがでしょうか。


投稿者プロフィール

古賀 聡

広島県広島市の税理士。現在は、個人事業主・中小事業者(法人)の税務・経営の相談を中心に活動中。ブログ投稿を2020年10月1日に立ち上げ、税務・会計だけでなく、ExcelマクロやRPAを使って業務の効率化やWebサイトの構築など、「小さな便利」記事を毎週月曜日に作成・投稿中。

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