本社を賃貸物件から自社物件に切替え:どこから始めればいい?重要な3つのステップを解説!

「本社の自社物件って、なんだか難しそう・・・」そう思っていませんか?
実は、本社自社物件は、長期的に見た資金づくりや資産形成の有効な手段としての意味があります。
しかし、物件選びから資金収支計画まで、考えることは色々ありすぎて何から順序だてて考えて行けばよいか・・・。
この記事では、一例として、事業が適度に安定し、本社を賃貸物件から自社物件と切替えて行くため、3つのステップを具体的な事例を交えてご紹介します。

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物件購入を検討する際、頭金の額や資金収支計画の工夫が資金繰りの鍵を握ります。

ここでは、資金収支のバランスを調整するため、色々な方法や考え方はありますが、頭金なしから始めるケース、頭金を一部用意するケース、さらに追加収入でバランスを調整するケースの3つのステップに絞って解説します。

ステップ1:頭金はどれくらい必要?

物件の購入金額を全額借入金で購入する場合、頭金の金額によって、借入額や月々の返済額が大きく変わります。
ケース1では頭金なしケース2では頭金2,400万円ケース3では頭金1,400万円と追加粗利益がある場合を比較し、それぞれの特徴を解説します。

ステップ2:月々の収支はどうなる?(収支比較)

自社物件の家賃収入と借入金の返済額を比較し、月々の収支がどのように変化するかをシミュレーション。
シミュレーションで資金収支がどうなるか(増えるか・減るか)がキーになってきます。
収支がプラスまたはトントンになるためには、どのような工夫が必要なのかを具体的に解説します。

ステップ3:追加収入で収支バランスを調整!

頭金を増やすことが難しい場合でも、本業の売上高増加(粗利益の増加)や事業拡大などを通じて追加収入を得ることで、自社物件の資金収支バランスを調整させることができます。

事例として扱う物件(賃貸物件と自社物件の例)

ここでは、事業用として使用している賃貸物件の本社から、自社物件として本社を購入した場合を例に取り上げています。
基本的に金融機関から設備資金として、借入金をお願いします。
購入する自社物件は、3階建ての建物です。
1階と2階は事務所、3階は居宅(ファミリー向けの住宅物件)と仮定。
また、土地の面積は、賃貸している本社物件と同様の大きさと仮定した場合を考えます。
1階部分は、賃貸物件から引っ越し本社として使用し、2階と3階は、賃貸物件として貸し出します。

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会社の本社を自社物件にしたい!

でも、資金計画を立てずに全額ローンで購入するとどうなるかご存知でしょうか?
今回は、購入金額7,000万円を全額借入金でまかなった場合のシミュレーションをご紹介します。

結論として、毎月の資金不足が発生するリスクがあるんです。

収益物件としての魅力があっても、適切な計画を立てなければ、かえって経営を圧迫する結果になるかもしれません。
そのため、資金収支計画を練りこんで、長期的な視点で俯瞰することが重要になってきます。

【前提条件】

  • 物件購入金額:7,000万円
  • 借入金:全額借入(7,000万円)
  • 返済期間:10年(120回)
  • 月々の返済額:約60万円(利息含む)
  • 家賃収入:40万円(2階および3階の賃貸収入)
  • 備考購入する物件の1階部分は本社事務所として利用

【収支比較】

項目現在(賃貸物件)自社物件購入後
収益の有無家賃収入なし家賃収入40万円
支払金額家賃10万円支払返済額60万円
差引(実質負担額)▲10万円▲20万円

【注意点】

実質負担額は現在よりも10万円増加し、毎月20万円の資金不足が発生します。
賃貸物件時代の事務所家賃10万円を差し引いても、毎月10万円が資金不足となります。

もし、資金計画を立てずに自社物件を購入してしまうと、長期間にわたり資金不足が続き、事業の運転資金を間違いなく圧迫してしまいます。
最悪、せっかく購入した自社物件を売却することにもなりかねません。

そのため、物件を購入する際に、資金収支計画を必ず立ててみて下さい。

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本社を自社物件にする際、頭金を準備することは重要です。

例えば、7,000万円の物件に2,400万円の頭金を用意した場合、家賃収入で借入金の返済をまかなうことが可能になり、毎月の資金繰りが大幅に改善します。

無理のない資金計画を立てれば、資金収支のリスクを抑えながら自社物件という資産を持つことができます。

【前提条件】

  • 物件購入金額:7,000万円
  • 自己資金(頭金):2,400万円
  • 借入金:4,600万円(7,000万円 ー 2,400万円)
  • 返済期間:10年(120回)
  • 月々の返済額:約40万円(利息含む)
  • 家賃収入:40万円
  • 備考:購入する物件の1階部分は本社事務所として利用

【収支比較】

項目現在(賃貸物件)自社物件購入後
収益の有無家賃収入なし家賃収入40万円
支払金額家賃10万円支払返済額40万円
差引(実質負担額)▲10万円0円(収支均衡)

【注意点】

頭金を多めに用意することで、月々の返済額を賃貸の家賃と同程度に抑えることができ、家賃収入でローン返済を賄うことが可能となります。

また、賃貸物件時代の事務所家賃の金額の10万円分支払い金額を抑えることができ、実質的には支出の削減になっています。

このシミュレーションでは、月々の収支が均衡しており、追加の資金負担なく物件を保有できる状況です。

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本社購入を検討しているけれど、頭金が十分に用意できない・・・。

その場合、頭金1,400万円(物件価格の20%)を用意し、さらに不足部分の金額を売上増加などで毎月の収益を確保すれば、資金計画はグッと楽になります。

工夫次第で自社物件の購入の道が大きく開けることになります。

ただし、資金収支計画を、より具体的に立てることは変わりません。実際の売上増加の理由なども重要になってきます。

【前提条件】

  • 物件購入金額:7,000万円
  • 自己資金(頭金):1,400万円
  • 借入金:5,600万円
  • 返済期間:10年(120回)
  • 月々の返済額:約48万円(利息含む)
  • 家賃収入:40万円
  • 追加収益:粗利益を月8万円(事業拡大や売上増加から捻出)
    (売上高が8万円ではなく、粗利益が8万円であることに注意して下さい)

【収支比較】

項目現在(賃貸物件)自社物件購入後
収益の有無家賃収入なし家賃収入40万円
追加収益なし粗利8万円
支払金額家賃10万円支払返済額48万円
差引(実質負担額)▲10万円0円(収支均衡)

【注意点】

頭金を多く用意できない場合でも、事業拡大や既存事業の売上増加などを通じて追加収入を確保することで、物件購入後の資金計画を安定させることができます。

この場合もケース2と同様に、賃貸物件時代の事務所家賃を払わなくてもよいので、実質10万円の支出削減になります。
ということは、このケース3では、事務所家賃を返済額の一部に組み入れる場合だと、追加収益が必要ありません。

しかし、次の章でも説明する「突発的な経費」や「想定外の支出」がありますので、少しでも余裕のある状況であると、心配事が減ります。

このシミュレーションでは、家賃収入と追加収益を合わせて返済額をカバーし、月々の収支バランスを保てます。

さらに、追加収益があるということなので、事業拡大や既存事業の売上増加があるという前提であり、資金収支計画にも組み込まれています。
そのため、売上増加の根拠を明確にする必要があるため、本業を見直し、経費を削れるものがないか、売上を伸ばす方法を必ず模索する必要があります。

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収支均衡の注意点

ここで扱った事例では、月々の収支が均衡していますが、実際の自社物件購入では、固定資産税、都市計画税、修繕費、管理費など、その他の費用も発生します。
実際には、これらの費用を考慮する必要があり、ギリギリの資金収支計画だと突発的だったり想定外の出費が伴う場合があります。
例えば、購入後にボイラーが壊れたり、水道管の経年劣化による補修が必要になったり、などなど。
資金収支計画は余裕をもった計画であることが望ましいです。

金利変動の影響

金融機関から借入をする場合、金利は固定金利か変動金利になります。
もし、変動金利を選択した場合(または、借入条件で変動金利しか選べない場合)、金利が変動すると返済額も同様に変動します。
そのため、資金収支計画に影響を与える可能性があることに注意してください。

空室リスク

賃貸物件が空室になった場合、賃貸の収入が減少し、収支が確実に悪化します。
この空室による資金不足の補填やその補填期間なども考慮する必要があります。
人気のあるエリアであれば空室が出ても、直ぐに埋まる可能性があるのかなど、物件の立地や周辺の環境(住宅地域・商業地域・工業地域などの地域特性など)についての情報を収集しておくことで、空室リスクの対応方法が見つかるかもしれません。

物件購入に関する記事をこちらもございます。宜しければご参考までにご覧ください。

最後まで、ご覧いただき、ありがとうございました。

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投稿者プロフィール

古賀 聡

広島県広島市の税理士。現在は、個人事業主・中小事業者(法人)の税務・経営の相談を中心に活動中。ブログ投稿を2020年10月1日に立ち上げ、税務・会計だけでなく、ExcelマクロやRPAを使って業務の効率化やWebサイトの構築など、「小さな便利」記事を毎週月曜日に作成・投稿中。

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