【消費税の納付と定期積立金】
事業が成長し、売上高が1000万円以上になると、
2年後には消費税の課税事業者になります。
日本国内で取引をしている場合、
ほとんどの事業で消費税を納付することになります。
(輸出取引などが例外ですが)
事業としては、納付しなければならない資金を貯めておかなければなりません。
そこで、毎月の定期積立金を使って資金繰りをしていきます(納税準備金)。
その方法について解説します。
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写真:消費税区分と税込金額と消費税の金額(弊社来た請求書より)
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納付する消費税の概算金額
今までは消費税を納付しなくてよかった事業者も、
インボイス番号を登録申請した場合は、消費税を納付することになります。
独立開業して、2年目あるいは3年目で事業が安定し
売上高が1,000万円以上になった事業者も、
4年目あるいは5年目には消費税を納付することになります。
初めての消費税納付の場合は、
納付金額を確保して納付できないという状況にならないようにしたいです。
そこで、消費税を納付するための定期積立をお勧めします。
年間の収入がある程度見込める、あるいは、見込めない場合でも、
過去の経験から概算の金額を計算してみて下さい。
または、目標金額でも構いません。
概算で算出した「売上高の大きさ」と
「事業の種類(小売業や飲食業など)」により、
納付する消費税額の金額も大体決まってきます。
(ただし、金額の大きい機械や車などを購入する場合を除きます。)
国税庁では、事業規模(売上高)と事業の種類で区分して、
納付する消費税の金額をザックリと概算・推奨しています。
(下記のホームページを参照。)
国税庁 「消費税等の納税は期限内に(リーフレット)」を参照
この消費税額を想定している金額を12ヶ月で割って、
1ヶ月当りの金額を毎月定額で積み立てます。
日々の事業資金(運転資金)から外し、確実で別途に少しずつ貯めます。
いざ納付する時に、この積立金額を取り崩し納付するという方法をとります。
仮に、積立金額が納付金額よりも多い場合は、
次期以降の運転資金に回せます。
積立金額より納付金額が少ない場合は、
事業資金(運転資金)を追加するコトになります。
でも、この積立金額をせず、通常通りに消費税の納付金額が
事業資金(運転資金)の通帳に貯めることを考えておかなければなりません。
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当期利益が赤字の時は要注意
消費税の納付用として積み立てた金額が無い場合、
納付する金額が通常の事業資金(運転資金)の通帳に
残っていると思われる方がほとんどでしょう。
「当たり前!考えただけでも当然だよね。」と。
しかし、実務では、この当たり前のことが当たり前で無い場合があります。
この「当たり前」には、「事業で最終的に利益が出ている」が前提です。
事業を継続する場合、
良い時(利益が出ている)もあれば
悪い時(損失が出ている)もあります。
常に利益が毎月出るということはうらやましい限りですし、
実際に毎月利益を出している事業者もあります。
しかし、現実は毎月利益を出すということは、難しい場合がほとんどです。
売上にも季節変動があり、
繁忙期で収入の大きい月と閑散期で収入の小さい月があります。
閑散期のマイナス金額(損失金額)を繁忙期のプラス金額(利益金額)が上回れば、
年間を通じて、最終的にプラス(利益)になります。
もし、この状態が逆転した場合は、最終的な金額はマイナス(損失)になります。
売上があるのに利益が出ていない場合でも、
仕入(変動費)の金額を支払わなければなりません。
売上が無い場合でも、家賃・人件費(基本給など)は支払わなければなりません。
本来、消費税の納付として残っている金額は、
売上が少ない場合でも、売上が無い場合でも支払に回すコトになります。
消費税の納付しなければならない金額が貯まらず、
毎月の支払に回るコトになります。
もちろん、損失が出ている場合は、消費税の納付金額は小さくはなります。
でも、小さくなるだけです。
消費税を納付する時期には、
消費税を納付する金額が通帳に残っていないコトになります。
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積立てるちょっとしたコツ
利益が出ている時はもちろん、利益が出ていない時でも、
強制的に積立金額をしておいた方が良いです。
積立方法にもいくつかあるのですが、一つご紹介します。
仮に、
飲食店で1,000万円の売上高の場合、国税庁のホームページ(上記参照)では、
年間約40万円(積立目安は約3万4千円)となってます
(提供する料理で異なりますがココでは考慮しません)。
ここで、
一口3万円の積立あるいは一口4万円の積立をするのではなく、
1万円の積立を3口にして毎月3万円を積立てる、
あるいは、
1万円の積立を4口して毎月4万円を積立てることをお勧めします。
もし、急な出費があり、この積立を取り崩す必要が出てきた場合は、
必要な金額の口数だけ取り崩して支払に当てます。
一口にまとめている場合は、全額を取り崩すコトになり、
スタート地点に戻ってしまいます。
リスタートの方法もありますが、できれば、複数の口数で積立ててみて下さい。
目の前の事業資金の支払と同様に、消費税の納付も必ず来ます。
極力、定期積立の口数を残して、
納付の時に納付の一部は確保できているコトが理想です。
消費税の納付金額の「足らず」を何とか資金調達する場合は、
「全額」をどこからか資金調達する場合と比較して
随分楽になるはずです。
最後まで、ご覧いただき、ありがとうございました。
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投稿者プロフィール
古賀 聡
広島県広島市の税理士。現在は、個人事業主・中小事業者(法人)の税務・経営の相談を中心に活動中。ブログ投稿を2020年10月1日に立ち上げ、税務・会計だけでなく、ExcelマクロやRPAを使って業務の効率化やWebサイトの構築など、「小さな便利」記事を毎週月曜日に作成・投稿中。
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