【心理的ハードルを突破】「それ、本当ですか?」と言えないあなたへ。角を立てずに「裏どり」する技術

仕事において「裏どり(事実確認)」が大切なのは分かっている。

でも、いざ確認しようとすると、こんな不安が頭をよぎりませんか?
「何度も確認したら、相手を疑っているみたいで失礼かな…」
「細かいやつだと思われて、嫌われたらどうしよう…」

特に、相手が上司や取引先、あるいはベテランの同僚だったりすると、なおさら聞きづらいものです。

しかし、確認を曖昧にしたまま進めた結果、後から大トラブルに発展してしまっては元も子もありません。

実は、仕事ができる人は、相手の気分を害さずに、むしろ「しっかりしている心強いビジネスパートナーだ」と信頼される聞き方をマスターしています。

今回は、「角を立てずに」裏どりを行うためのコミュニケーション技術を、具体的なフレーズ付きで解説します。

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まず、裏どりに対する心の持ちよう(マインドセット)を変えてみてください。

裏どりは、「相手の発言を疑うこと」ではありません。

目的は、「認識のズレをなくし、お互いが安心して仕事を進められるようにすること」です。

この「お互いのため」というスタンスを基本姿勢に置くことで、言葉選びが自然と柔らかく、かつ前向きなものに変わってきます。

角を立てずに事実確認をするために、実際の現場でも使われている4つの技術を紹介します。

「クッション言葉」でトーンを和らげる

直接的な質問は、時に「責められている」ような印象を与えてしまいます。

本題に入る前に置くことで、言葉の衝撃を和らげる緩衝材の役割を果たすのが「クッション言葉」です。

専門用語解説:クッション言葉

ビジネスシーンにおいて、相手にお願いやお断り、質問など「少し言いづらいこと」を伝える際、本題の前に添える気遣いの言葉のことです。

「恐れ入りますが」「差し支えなければ」などがあり、相手へ敬意を示し、対話をスムーズにする効果があります。

  • 裏どりで使えるクッション言葉の例
    • 「私の聞き間違いでしたら大変恐縮なのですが、〜」
    • 「念のための確認で恐縮なのですが、〜」
    • 「私の理解を深めるために、一点だけ教えていただきたいのですが、〜」

主語を「私(I)」にする「アイ・メッセージ」

「(あなたが言った)そのデータ、本当に合っていますか?」と聞くと、相手は非難されたように感じて身構えてしまいます。

そこで、主語を「私」にして伝える「アイ・メッセージ」を活用します。

専門用語解説:アイ・メッセージ(I-Message)

心理学やコミュニケーション理論で使われる手法で、主語を「あなた(You)」ではなく「私(I)」にして自分の感情や状況を伝える方法です。

「あなたが間違っている(You)」ではなく「私は〜と理解している(I)」と伝えることで、認識のズレが無いかを確認するように促します。

そうすることで、相手を攻撃せず、素直に受け入れてもらいやすくなります。

  • ユー・メッセージ(相手が主語)
    「(あなたが言った)さっきの納期、本当に大丈夫ですか?」
  • アイ・メッセージ(自分が主語)
    「(私が)スケジュールを確実に管理したいので、念のため正確な納期を、もう一度確認させていただけますか?」

「ウィット」や「ユーモア」で警戒心を解きほぐす

相手に「事実を確認させてください」と真正面から迫ると、どうしても「尋問」のような堅苦しい空気になってしまいます。

そこで、アイスブレイクを適度に会話に使います。

あえて自分を少し下げて相手のクスグリ所で「クスッと笑える冗談(ユーモア)」を交えることで、ガチガチに固まった場の空気が和らぎます。

専門用語解説:アイスブレイク(Icebreaking)

初対面の人同士や、緊張感のある会議の始まりなどに、簡単な雑談やユーモアを交えることで、その場の緊張をほぐす(氷を溶かす=アイスブレイク)手法のことです。

お互いの心理的距離を縮め、本音を引き出しやすくする効果があります。

  • ⭕ ユーモアを交えた裏どりの例①
    「私のニワトリ並みの記憶力のせいで本当に申し訳ないのですが、念のためもう一度メモさせていただけますか?」
  • ⭕ ユーモアを交えた裏どりの例②
    「私の脳内ハードディスクがそろそろ容量限界でして…、バグを起こさないためにも、先ほどのスケジュールをもう一度おさらいさせてください!」

自分に非があるようなニュアンス(=キャラ)を冗談混じりに演じることで、相手は「仕方ないなぁ、じゃあもう一回教えるね」と、笑顔で協力的な姿勢になってくれるかもしれません。

「アサーティブ・コミュニケーション」を意識する

相手の立場を尊重しながらも、自分の主張(事実確認をしたいという要望)を誠実に、かつ対等に伝える姿勢を「アサーティブ・コミュニケーション」と呼びます。

専門用語解説:アサーティブ・コミュニケーション(Assertive Communication)

相手の意見や感情を尊重しつつ、自分の意見や要望も我慢せずに、適切かつ自己主張する対話スタイルのことです。

「相手をねじ伏せる(攻撃的)」でもなく、「自分が我慢する(受身的)」でもない、お互いを尊重し合う対等な人間関係を築くための技術です。

事実確認の場面では、「お忙しいところ恐縮ですが(相手への配慮)、間違いのない資料を作成したいので(自分の正当な理由)、データの根拠を教えていただけますか?(誠実な要望)」という組み立てがアサーティブ(双方が尊重される)な伝え方になります。

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ここからは、日常のビジネスシーンでよくある3つの場面を想定し、そのまま使える具体的なフレーズを紹介します。

シーンA:上司の指示に「言った・言わない」のズレを防ぎたいとき

上司から口頭で「あれ、適当に進めといて」と指示されたものの、曖昧な点が多い場合。

  • NGな聞き方
    「適当ってどういうことですか? ちゃんと指示してください」
  • スマートな言い換え
    「部長、先ほどご指示いただいた件ですが、私のニワトリ並みの記憶力でご迷惑をおかけしないよう確認させていただきたく、今週金曜日までに〇〇の方向で資料を作成する、という認識で間違いないでしょうか?」

★ ポイント

前述の「ユーモア(ニワトリの記憶力)」を混ぜつつ、「私の理解の確認」という形を取ることで、上司に嫌な思いをさせず、スムーズに言質(証拠)を取ることができます。

シーンB:取引先からの「口約束」を確定させたいとき

打ち合わせの中で、先方の担当者が「あ、その費用はうちで持ちますよ」と口頭で言ってくれたが、正式な書面がない場合。

  • NGな聞き方
    「それ、本当に払ってくれますよね? 証拠をください」
  • スマートな言い換え
    「〇〇様、先ほどのご厚意、本当に嬉いです!この気持ちが冷めないうちに社内の決裁手続きをスムーズに進めたいので、本日お話しいただいた『費用負担の件』について、簡単にメールでいただけますと幸いです!」

★ ポイント

少し大袈裟なくらいで、感謝を伝える冗談っぽい表現で、トーンを明るくしつつ、「社内手続きのため」という大義名分を使って、自然にテキスト(エビデンス:証拠)での提出を促します。

シーンC:同僚から受け取ったデータの根拠を確かめたいとき

同僚が作ってくれた売上予測データの数字に、少し違和感を覚えた場合。

  • NGな聞き方
    「この数字、どこから持ってきたの? 間違ってない?」
  • スマートな言い換え
    「データまとめてくれてありがとう! すごく分かりやすい。
    一点だけ、私では、この数字の弾き出し方が理解できず…。
    今後の勉強のために、算出の根拠(元データ)を教えてもらえる?」

★ ポイント

まず「感謝」を伝え、その後で「自分の知識が追いつかない」という雰囲気で質問します。

相手を賢者、自分を初心者として置くことで、相手のプライドを傷つけずに快く元データを共有してもらえるかもしれません。

「裏どりをする=相手を疑う」と考えてしまうと、どうしても一歩引いてしまいます。

しかし、ビジネスにおける本当の誠実さとは、曖昧なまま進めて後から「そんなつもりじゃなかった」と相手に迷惑をかけることではありません。

少しのユーモアやクッション言葉を交えてお互いの心を和らげながら、徹底的に事実を確認し、仕事を完璧にガードすること。

それこそが、一緒に仕事をする相手に対する「最高の敬意」であり「思いやり」のように考えます。

「ちょっと聞きづらいな」と思ったときこそ、今回ご紹介したテクニックや言い換えフレーズを使って、一歩踏み込んで確認してみてください。

その丁寧な姿勢が、あなたのビジネスパーソンとしての信頼を高めてくれるはずです。

最後まで、ご覧いただき、ありがとうございました。

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投稿者プロフィール

古賀 聡

広島県広島市の税理士。現在は、個人事業主・中小事業者(法人)の税務・経営の相談を中心に活動中。ブログ投稿を2020年10月1日に立ち上げ、税務・会計だけでなく、Excelマクロなどのアプリを使って業務の効率化や経営のちょっとしたコツなど、「小さな便利」記事を作成・投稿中。

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