【事業の水平展開と垂直展開】

事業が売上を確保し、利益が安定した場合、
事業の拡大を図ります。
その方法として、
水平展開と垂直展開という考え方があります。
事業拡大方法の水平展開と垂直展開について説明しています。

画像:水平線と垂直に伸びる空

独立開業後、一年を通して、
事業が安定し利益が確保できるようになると、
更なる売上高の確保を目指して、
事業の拡大を目標に掲げると思います。

この場合、
どのような方向で拡大を図るかという考えに、
水平展開と垂直展開という考え方があります。

この2つの考え方は、
共に事業拡大することなのですが、
事業を広げていく展開方法が異なります。

どちらの方法も事業を拡大していく上では重要な考え方です。

通常は、2つの組み合わせである場合が多いです。

2つの考え方を整理することで、
2方向で展開の幅(事業拡大の幅)を最大限に広げて、
その後に2つを組合せ事業に落とし込む方法をおすすめします。

水平展開は
すでにある技術や知識を、違う分野や場所でも活かすこと」です。

抽象的でわかりずらいので、具体的な例を挙げてみます。


<カレー屋(飲食業)の場合>
独立開業し、念願のカレー屋をスタートしました。

順調にお客様も増え、
他社とは違う美味しいカレーのレシピもでき、
カレー屋としての事業も安定し
利益も確保できるようになりました。

それまでの期間に、
すでにあるカレー屋とは違う独自のレシピを考えだしたことで、
事業の「軸」を確立したとも言えます。

また、提供する皿、スプーン、コップだけでなく、
店舗の雰囲気や接客姿勢なども、
自らが考えぬいた店舗として
事業全体が成立する状態を作りだしました。

1店舗で利益が出る事業が成立したので、
別の場所で、同様のレシピメニューで2号店を出店し、
更なる事業の拡大を図ります。

このように水平展開は、
他社とは違う独自のレシピ(技術や知識)を、
2号店という別の場所(分野や場所)
出店する(活かす)方法です。

水平展開は、
事業が成立する状態を違う場所で提供することでもあります

ということは、
事業が成立する状態をでなければなりません。
最初の店舗で利益が出ているので、
その利益で得た出店資金を捻出できます。

出店資金を金融機関から借入れる方法もあります。

しかし、店舗として利益を出していない場合は、
店舗展開しても同様に利益を出せない可能性が高いです。
結果として、赤字を大きくするだけとなります。

この場合は、水平展開するには早過ぎる事業の状態とも言えます。

まずは、事業として成立する状態を確保できれば、
水平展開の事業拡大の方向性が見えてきます。

垂直展開は、
今持っている知識や技術をさらに突き詰め、より良いものにすること」です。
これも抽象的なので、具体的な例を挙げます。

<塗装工事業(建設業)の例>
塗装工事業として一人親方として独立開業し、
施工についても要領を得て、
コツコツ営業をして得意先も順調に増えてきました。

建設業許可を取得するにも期間が必要で、
取得するまでの期間も
事業で利益が出るように資金繰りをして、
事業の安定化を図るようにしました。

建設業許可を取得してからは、
対外的な信用も確保でき、
毎年順調に売上高を増加し利益も
確保できるようになりました。

事業の拡大として、
さらなる売上高や利益を確保できないか考えます。

施工方法について工程管理を徹底的に調べてみると、
今までの工程管理方法をさらに工夫して、
10日かかっていた施工日程が8日で終わり、
2日を短縮できることに気づきました。
(実際は、簡単ではございませんが・・・)
(なので「徹底的に調べる」としました)


この日程を短縮できた工程管理方法は、
自らが徹底的に調べて、
どうしたら日程を短縮できるかを考えぬいた結果です。

年間の受注数が30件とすると、
30件×10日=300日となります(毎週日曜日がお休み)。

これを2日短縮し、
8日で施工を完了する場合は、
30件×8日=240日となります(毎週土曜日と日曜日がお休み)。

土曜日は休みになるのですが、
「今まで通り土曜日を休みにせず、
身体が動く内にしっかり稼ごう」
と考えると、
300日で施工できる件数は、
300日÷8日=37.5件です。

37.5件‐30件⁼7件で、
年間で7件増加です。

1件当たりの平均売上金額が30万円の場合、
7件(増加分)×30万円=210万円
の増加となります。

工程管理の見直しのため、
売上が増加することによる経費は
そこまで大きくない場合、
売上高の増加は、
実質利益の増加につながる可能性があります。
(限界利益率の増加につながります)

今の施工の工程管理方法(知識や技術)を
徹底的に調べて工夫する(突き詰める)ことにより、
新たな工程管理方法(より良いもの)を実施することで、
売上高と利益を確保するコトができた事例です。

垂直展開では、
コストを見直すため、
同じ製品・商品を安く仕入れる事ができる業者を
見つけることであったり、
同様の施工品質を確保しながら
ミスの無い外注先を確保することで、
不要な工程日数を割く必要がなくなったりなど、
今までの自社の技術や管理方法に
さらなる磨きをかけていくことです。

あきらめたら、他の事業者と同様になります。

慌てず、
焦らず、
諦めずに、
自らの事業を検証してみることをおすすめします。
(中学生の恩師の言葉「3つの」で、今でも座右の銘です。)



投稿者プロフィール

古賀 聡

広島県広島市の税理士。現在は、個人事業主・中小事業者(法人)の税務・経営の相談を中心に活動中。ブログ投稿を2020年10月1日に立ち上げ、税務・会計だけでなく、ExcelマクロやRPAを使って業務の効率化やWebサイトの構築など、「小さな便利」記事を毎週月曜日に作成・投稿中。

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