【ABC分析と事業継続(リスク回避)】

<目次>

画像:ABCを抜き出すイメージ

ABC分析とは

事業について分析する方法として、
「ABC分析」という方法があります。
通常は、売れ筋商品の把握や季節限定商品の把握など、
どのような商品が売れているかを調べて、
商品仕入などの優先順位を決める方法です。

売れ筋商品を把握するコトで、
仕入れる商品を絞り、商品の売り方を考え、
更に売上を伸ばすコトにつながります。
その第一段階として、商品の売上構成を把握する場合に、
この「ABC分析」がよく用いられます。

自社の商品の構成を種類別・単価別・季節商品別などなど、
さまざまな商品種類の区分により
売上がどのように構成されているかを集計します。

その内、Aグループ・Bグループ・Cグループとして
3つの商品群に区分します。
ざっくり言うと、
Aグループは、
売上全体の8割を構成しており、よく売れている商品群です。
Bグループは、
中堅どころの売上を構成し、次の売上に貢献する商品群です。
Cグループは、
AグループやBグループに属さず、売上としては貢献していない商品群です。
(かと言って、無視してはならない商品群でもあります)

<注意すべき点>
気を付けて頂きたいのは、
絞られた仕入れ商品の選定や売り方などは、
ABC分析の結果の後の手法になるため、
別の考え方で「売上を伸ばす」につなげていきます。
また、季節商品や流行商品などは、
単純なABC分析の結果を適用すべきでなく、
特定の条件による結果から検討する必要があります。

得意先(売上先)の現状把握に応用

事業を開業した直ぐの時期は、
ほぼ1社で売上を構成しているコトが多いでしょう。
1ヶ月・半年・1年と経過するごとに、
1社増え・2社増えと少しずつ得意先が増えて、
売上高が増えてきます。
(一概にはいえませんが・・・)

また、小売店や飲食店など
不特定多数のお客様が売上先の場合でも、
お客様をグループ分けしたABC分析は有効です。
お客様には「常連さん」だったり、
「よく来てくれるお客様」だったり、
また、「男性」だったり、「女性」だったり、
売上先の構成を把握するコトは重要です。

そこで、売上を構成するお客様(得意先)に焦点を当てて、
ABC分析を活用します。
現状の売上構成を把握し、
今からの売上構成の目標を考え、設定します。

初年度(開業1年目)は、
下記の様になっていた場合、
2年目の目標や3年目の目標を設定するように、
少しずつ売上を増やしていくために、
「どのような得意先を増やそうか・・・」と
考えるきっかけになります。

【売上高の構成】単位:円
得意先名1年目の実績2年目の目標3年目の目標4年目の目標
1A社2,000,0002,500,0002,800,0003,000,000
2B社100,000200,000300,000350,000
3C社50,000100,000200,000300,000
4D社10,00050,000100,000250,000
5E社10,00020,000100,000200,000
6F社 50,00080,000160,000
7G社 20,00070,000150,000
8H社 10,00050,000140,000
9I社  50,000120,000
10J社  20,000110,000
11K社  10,000100,000
12L社   70,000
13M社   50,000
14N社   10,000
合計 2,170,0002,950,0003,780,0005,010,000

というコトは、
自社の事業の得意(強み・できるコト)や
不得意(弱み・できないコト)を把握するコトにもなります。
あくまでも、ABC分析は現状把握であるため、
自社の事業の得意・不得意と現状をつなぎ合わせるコトが重要です。

「得意」を生かし営業をして、
毎年数社の取引先を増やし続けるコトを目標に、
2年目の得意先数の設定をし、売上金額を設定します。

必ずしも上手く行かないかもしれませんが、
目標を設定するコトは重要です。
絵に描いた餅にならないように、
現実的な目標を設定するコトも重要です。

なぜこのようなコトが必要かというと、
売上金額のほとんどを1社でまかなっていた場合、
その1社の取引が無くなると、
事業の運転資金を確保できなくなるため、
事業が太刀打ちできなくなるためです。
つまり、「事業資金の減少」というリスクを回避するため
でもあります。
事業を継続していく上で、
さまざまなリスクがありますが、
「事業資金のリスク」は必ず回避しなければなりません。

事業継続と同時にリスクの回避

ABC分析は、あくまでも現状を分析する手法ですが、
「最終的には事業資金の確保する」にまでつながります。

ABC分析の元データは、日々の取引の集計のため、
現状把握はそこまで難しくはありません。
分析結果を次につなげるコトが非常に難しいです。

でも、日々事業を継続していると、色々な経験をします。
経験をすると、考え方に幅が出てきて洗練されてきます。
事業として具体的にどの方向に進むか、
習得する時間をかけて、
どの得意(できるコト)を広げていくか、
などなど・・・。

事業の進む方向を決めるのは、
事業主である自身です。
進みたい方向と分析結果をつなげるために、
ぜひ一度、現状を把握してみて下さい。


投稿者プロフィール

古賀 聡

広島県広島市の税理士。現在は、個人事業主・中小事業者(法人)の税務・経営の相談を中心に活動中。ブログ投稿を2020年10月1日に立ち上げ、税務・会計だけでなく、ExcelマクロやRPAを使って業務の効率化やWebサイトの構築など、「小さな便利」記事を毎週月曜日に作成・投稿中。

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