パートさん・会社員向け!税金が安くなる改正された「新ルール:給与所得控除」を解説

令和8年度(2026年度)から、会社員やパート・アルバイトの皆様に関わる税金のルールが大きく変わります。
この改正は、毎月の手取りや働き方の制限に直接関わる、生活に身近な変更です。
難しい専門用語をできるだけ使わずに、「結局、自分自身の生活や手取りはどう変わるの?」という疑問にできるだけ分かりやすくお答えします。
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目次
そもそも「給与所得控除」ってなに?

税金の計算を考えるとき、絶対に避けて通れないキーワードがあります。
それは、給料から毎月引かれる税金の額や, 手元に残るお金に関わるものです。
その大切なキーワードが、この「 給与所得控除(きゅうよしょとくこうじょ) 」という言葉です。
聞きなれない言葉で、身構えてしまうかもしれませんが、これは会社員やパート、アルバイトで働くすべての人に関係してきます。
財布に直接関わるとても重要な仕組みで、ご自身の財布にとって、実はとてもおトクな内容に変更されています。
【専門用語 の解説】
- 給与所得控除(きゅうよしょとくこうじょ)
会社員やパートさんのための 「お仕事用の経費(みなし経費)」 のことです。
個人事業主(フリーランスなど)は、仕事で使ったパソコン代や事務用品代のレシートを経費にして税金を安くします。
しかし、会社員やパートさんは毎回レシートを出すのが大変なため、「あなたの収入なら、これくらいはお仕事に必要でしたよね」と、国が代わりに決まった金額を差し引いてくれます。
この差し引き(控除)の金額が大きければ大きいほど、手元に残る「税金の対象になるお金」が少なくなり、結果として 払う税金が安く なります。
こちらのブログ記事も参考にしていただければと思います。
今回のルール変更で何が変わる?

今回のルール変更では、この「最低限差し引いてもらえるお仕事用のみなし経費」が、以下の表の通り大幅にアップします。
| 区分 | これまでのルール (改正前) | 令和8年・9年のルール (改正後) | 差額 (おトクになる額) |
| お仕事用の最低経費 (給与所得控除額) | 65 万円 | 74 万円 | 9 万円アップ |
この新しいルールは年間 220 万円以下の人が対象となるため、まさにパートさんにとって非常に大きく影響する内容となっています。
下記に、参考にした国税庁のホームページを載せておきます。
1ページ目の「(2)給与所得控除の最低保障額の引上げ」の項目になりますので、ご確認下さい。

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パートさんの「税金がかからない壁(非課税枠)」が大きく広がります!

よく耳にする「103万円の壁」という言葉があります。
【専門用語の解説】
- 非課税枠(ひかぜいわく)
「これ以下の収入なら、税金(所得税)は1円もかかりませんよ」 というボーダーラインのことです。
世間ではよく「〇〇万円の壁」と呼ばれます。
ひと昔前までは「103万円を超えると所得税がかかり始める」というのが基本でした。
しかし今回のルール改正により、この壁が高くなります。
令和8年・9年の「税金がかからない新しい壁」
- お仕事用の経費(最低保障額): 74万円
- さらに、誰でも引ける基本の引き算(「基礎控除」): 104万円
- 新しい壁 : 178万円(74万円 + 104万円)
そのため、令和8年・9年の2年間は、パートやアルバイトの収入のみの場合、年間「178万円」以下であれば、所得税は1円もかかりません。
これにより、「103万円を超えそうだからシフトを減らさなきゃ…」と悩んでいたパートさんも、今よりずっと多く、安心して働くことができるようになります。
具体的にどれくらいお得になる?(シミュレーション)

年間パート収入が 150万円 の人を例にして、これまでの計算と比べてみましょう。
【これまでのルール】
- 年収 150万円 から「お仕事用の経費(65万円)」を引く
- 残った「お仕事の稼ぎ」は、85万円 となる
- ここから、誰でも引ける基本の引き算である「基礎控除(これまでは 95万円 )」を差し引く。
(引ききれるため「お仕事の稼ぎ」は実質 0円 になり、税金はかかりません)
【これからのルール(令和8・9年)】
- 年収 150万円 から、新しく増えた「お仕事用の経費( 74万円 )」を引く
- 残った「お仕事の稼ぎ」は、 76万円 になる( 9万円も減りました! )
- ここから、新しく引き上げられた「基礎控除(これからは 104万円 )」を差し引く。
(こちらも引ききれるため結果は 0円 となり、さらに大きな余裕を持って税金がかかりません)
今回例に挙げた「年収 150万円」の場合、実はこれまでのルールでも新しいルールでも、所得税はどちらもかかりません。
しかし、お仕事の稼ぎの基準が 9万円 下がったことで、「もっとシフトを増やしてたくさん稼ぎたい!」という人にとって、より高い年収まで税金がかからなくなったり、税金が安くなったりする大きなメリットが生まれます。
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自分で何か手続きをする必要はある?

「この制度を使うために、何か申請は必要なの?」と不安になるかもしれません。
しかし、基本的には会社が年末調整という処理をしてくれます。
そのため、自分自身で税務署へ行くような特別な手続きは不要です。
ただし、大切な注意点があります。
会社から配られる「扶養控除等(異動)申告書」などの必要書類は、期限までに 必ず会社へ提出する必要があります。
これらを期限内に正しく提出して下さい。
そうすれば、 会社側で改正された新しいルールで所得税の計算をしてくれます 。
【専門用語の解説】
- 年末調整(ねんまつちょうせい)
毎年12月に会社が「あなたの今年の正確な税金は〇〇円です」と、1年間の税金をまとめて再計算し、払いすぎていた税金をお給料袋に返してくれる手続きのことです。
毎月のお給料から引かれている税金は、これまでのルール(改正前の高めの税金)で計算されています。
しかし、 令和8年12月の「年末調整」のときに、会社が今回の改正ルールに基づいて1年分の税金を計算し直してくれます 。
具体的には、「給与所得控除の74万円」や「基礎控除の104万円等」を使って再計算します。
そこで、払いすぎていた税金が手元に戻ってきます。
これが税金が還付される仕組みです。
最後まで、ご覧いただき、ありがとうございました。
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投稿者プロフィール
古賀 聡
広島県広島市の税理士。現在は、個人事業主・中小事業者(法人)の税務・経営の相談を中心に活動中。ブログ投稿を2020年10月1日に立ち上げ、税務・会計だけでなく、ExcelマクロやRPAを使って業務の効率化やWebサイトの構築など、「小さな便利」記事を毎週月曜日に作成・投稿中。










