妊娠中絶費用は医療費控除の対象になるか?

妊娠中絶の費用は、所得税の医療費控除の対象になるかどうか、について、
私なりに解説したいと思います。

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画像:妊娠検査薬

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妊娠中絶の費用について、
所得税法では次のようになっています。

「妊娠中絶の費用のうち、
母体保護法の規定に基づいて医師が行う妊娠中絶に係るものは、
医療費控除の対象となります。」


下記の国税庁ホームページに記載がありますので、参考に。
この内容は「令和5年8月1日現在の法令・通達等に基づいて」
作成されており、違う見解の場合があるということが
朱書きの注記として掲載もされています。

国税庁のホームページ:妊娠中絶の費用

短い文章ですが、この内容からは、
全ての妊娠中絶費用が医療費控除の対象にならない、
という意味でもあります。

医療費控除の対象になるためには、
「母体保護法の規定」に基づいていること、
「医師が行う」こと、
が必要になります。

この2つがそろって、医療費控除の対象になります。
もちろん、支払ったことを証明するための領収書は必須です。

では、「母体保護法の規定」や「医師が行う」とはどういうことでしょうか?

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中絶手術自体は、
刑法上「堕胎(だたい):人為的に流産させること」として
禁じられています。
堕胎させたときは、堕胎罪として犯罪になります。

他方、この刑法とは別に、
母体保護法により中絶手術を法的に保障しています。

その理由として、
身体的理由(妊娠継続によって母体の健康を著しく害するおそれがある場合)
経済的理由(生活に重大な経済的支障を及ぼす場合)
となっています。

日本産婦人科医会に「母体保護法」が掲載されています。
日本産婦人科学会ホームページ:母体保護法

法律の目的は、
「不妊手術及び人工妊娠中絶に関する事項を定めること等により、
母体の生命健康を保護することを目的(同法第1条)」
としています。

また、中絶に関して
「医師会の指定する医師(指定医師)は、
本人及び配偶者の同意を得て、
人工妊娠中絶を行うことができる(同法第14条)」
となっています。

ここで、中絶手術ができるのは指定医師のみですが、
医師会の指定した医師のほか、
「厚生労働大臣の定める基準に従って
都道府県知事の認定する講習を修了した
助産婦、保健婦、看護婦(同法第15条1項、2項、3項)」
も含まれます。

医療現場では、指定医師の補助をする方や、
病院や診療所が無い市町村の状況では、
医療体制を整えるための幅広く網羅しているのではないでしょうか。

このことから、
現在では人工妊娠中絶はだれでもできるのではなく、
必ず指定された医師・指定された者でないとできません


そして、指定医師・指定された者が人工妊娠中絶すべきかどうか、
上記の身体的理由・経済的理由に照らし合わせて判断します。
人工妊娠中絶をしたということは、
このような法律に基づいて行われています。

ということは、
妊娠中絶は母体保護法の規定に基づいて行われるものであり、
逆に母体保護法の規定に基づいていない妊娠中絶はありえない
と言えます。

領収書を発行するのであれば、
「だれ」が「いつ」妊娠中絶を行ったかが分かるので、
「母体保護法の規定に基づいて」行うということになります。

つまり、妊娠中絶の医療費の領収書があること自体、
医療費控除の対象
となると言えます。

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中絶費用が医療費控除の対象になるかどうかを深堀してみました。

色々調べてみると、
妊娠中絶は、法的な制限を設けている日本ですが、
日本の過去の状況や現在の世界的の状況は、
妊娠中絶により女性の生命や身体を危機にさらされている
という歴史があったようです。
望む妊娠、望まない妊娠など。
健康は重要なことを改めて考えてさせられます。

一例ですが、参考にしたホームページを下記に記します。

公益社団法人 日本産婦人科医師会:人工妊娠中絶ができる条件とは何ですか?

一般社団法人 日本家族計画協会:2022年度の人工妊娠中絶届出件数

国際協力NGOジョイセフ:世界の人工妊娠中絶の状況(2015-2019)

医の倫理の基礎知識(2018年版)母体保護法とその問題点

最後まで、ご覧いただき、ありがとうございました。

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投稿者プロフィール

古賀 聡

広島県広島市の税理士。現在は、個人事業主・中小事業者(法人)の税務・経営の相談を中心に活動中。ブログ投稿を2020年10月1日に立ち上げ、税務・会計だけでなく、ExcelマクロやRPAを使って業務の効率化やWebサイトの構築など、「小さな便利」記事を毎週月曜日に作成・投稿中。

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