サラリーマンから独立開業:メリットとデメリットの解説

会社員という安定した立場を離れ、自らの腕一本で道を切り拓く「独立開業」の世界。

そこには、組織に属していては決して味わえない大きな喜びがある一方で、避けては通れない厳しさもあります。

ここでは、独立して「良かったと感じること」と「苦労したこと・デメリット」について、自分なりの視点から改めて整理してみました。

具体的なエピソードを交えて詳しく見て行きたいとおもいます。

大切なのは、「独立」か「会社員」かのどちらが正解かということではなく、それぞれの環境が持つ特性を正しく理解することだと思ったからです。

この記事の内容が、ご自身の性格や価値観に照らし合わせ、どちらの状態がより自分らしく、納得感を持って生きられるのかを見つめ直すキッカケとなれば幸いです。

​ 時間と場所を完全にコントロールできる ​

出勤時間や勤務場所、あるいは日中の休憩のタイミングなどを、その日の体調や予定に合わせて自分自身で柔軟に決定することができます。

会社員時代の大きな負担であった満員バス・満員電車のストレスから解放されるだけでなく、集中力が最も高まる時間帯に仕事を寄せるなど、個人のバイオリズムを最大限に活かした効率的な働き方を追求することが可能になります。

【具体例 1-1 】

会社員時代は片道30分間の通勤が大きな悩みでしたが、独立後は自宅近くに構えた事務所や近所のカフェがオフィスになりました。
平日の午前中に役所や病院へ行ったり、子供の学校行事にも二つ返事で参加できるようになったりと、生活の環境が大きく向上しました。

​ 収入の上限がなく、成果がダイレクトに反映される ​

年功序列や社内規定といった既存の給与体系に縛られることがないため、自身の努力によって労働量を増やしたり、スキルアップや効率化によって生産性を高めたりした分だけ、その成果が直接収入として還元されます。

組織の運営費として利益が差し引かれる感覚がなくなり、自分が顧客に提供した付加価値のすべてを自身の報酬として享受できることは、プロフェッショナルとしての自覚とモチベーションを高めてくれます。

【具体例 1-2 】

サラリーマン時代は月給が固定されていましたが、独立して案件を受注した際には、会社員時代の数ヶ月分に相当する歩合給を得ることができました。
また、事業に必要な経費を計上できるなど、事業経費面での裁量が広がることも大きな利点です。

​ 煩わしい人間関係や社内政治からの解放

上司や周囲への過剰な忖度、報告のみの会議、あるいは意味のない派閥争いといった、組織特有の精神的ストレスから離れることができます。

自身の貴重なエネルギーを「社内での立ち回り」に浪費することなく、本来の業務や、スキルを上げる事を増やせて、時間と労力を集中させることができるようになります。

また、共に仕事をする取引先や業界の違うフリーランスを自分の価値観に基づいて選べるため、気持ちの部分でも平常心を保ちやすくなります。

【具体例 1-3 】

苦手な上司などの顔色を伺う必要がなくなり、精神的な健康を取り戻すことができました。
気が合わないクライアントとは契約を更新しないという選択もできるため、常に前向きな気持ちで仕事に向き合えています。

意思決定のスピードと経費の裁量権

組織特有の重層的な決裁ルートや承認を待つ必要は一切ありません。

新しいアイデアや改善策を思いついたら、その場ですぐに自らの判断で実行に移せます。

この圧倒的な機動力はビジネスの勝機を逃さないための武器になるだけでなく、自分の人生のハンドルを自らの意思で握っているという、深い充足感と実感を日々もたらしてくれます。

【具体例 1-4 】

新しい機材の導入やサービスの変更を、会社員時代は提案を総務に伝えたり、直接所長に相談したりして承認を得ていましたが、今は自分一人で即決できます。
このスピード感が、事務所を成長させる大きな要因となっています。

​ 自身の市場価値が可視化され、スキルが磨かれる

会社の看板を背負うのではなく、純粋に「個人の名前」と実力で勝負する環境に身を置くことで、本当の意味での自身の市場価値が磨かれます。

専門スキルだけでなく、営業、経理、企画など、仕事の全行程を主体的に経験することになります。

その結果、経営者としての考え方などが養われ、さまざまな状況下でもなんとか自力で生き抜いていける判断力が自然と身についていきます。

【具体例 1-5 】

以前は専門職として一部の作業を担当するのみでしたが、独立してからは集客から契約締結まですべてを経験しました。
その経験を通じて、どのような環境に置かれても踏ん張って仕事を続けていけるという行動力を得ることができました。

​ 収入が不安定になり、常に精神的プレッシャーがある

毎月決まった日に必ず給与が振り込まれるという会社員時代の確かな保証はなくなります。

案件の停滞が即座に収入の減少を意味するシビアな状況と常に隣り合わせであり、この不透明さは生活の基盤を揺るがす不安に直結しかねません。

こうしたプレッシャーは、会社員時代には想像もしなかったほど重く、日々の暮らしに影響を及ぼすことがあります。

【具体例 2-1 】

気づいていたもののクライアント様との契約が打ち切られたり、自ら契約を解除し、収入見込みが立たなくなった時は、将来への不安で眠れませんでした。
サラリーマン時代の「安定」が、いかに恵まれた環境であったかを痛感する瞬間でもあります。

​ 社会的信用が一時的に低下する

残念ながら、大手企業や大きな事務所は人材も資金もあり、「組織に属してい仕事をすること」を信用の大きな指標であることは変わりません。

独立直後は実績もなく、収入の安定が見込めないため、クレジットカードの作成や各種借入金の審査が非常に厳しくなります。

安定した収入が数年分証明されるまでは、個人的な信用を積み上げる期間が必要となります。

【具体例 2-2 】

独立して2年目ぐらいに、事業資金の借入金を検討した際に銀行の審査が厳しく、年利(金利)も高かったことがあります。
会社員時代より年収は高くなっていましたが、事業の継続性を厳しく問われ、組織に属することの信用の強さを思い知らされました。
また、頭では理解していたのですが、自分事として体感させられました。

すべての雑務を一人でこなす必要がある

契約書の作成や経理業務といった煩雑な事務作業、オフィスやトイレの掃除、備品の調達、さらにはPCなどのトラブル対応まで、あらゆる業務を自分一人で完結させなければなりません。

会社員時代には専門部署が担ってくれていたバックオフィス業務に時間を取られるため、収益を生むメイン業務に集中できる時間が削られてしまうという課題が生じます。

【具体例 2-3 】

仕事が順調に進まないと、数日間は夜にデスク作業を回し、本業の手が止まらないように、無理をすることが頻繁にありました。
会社で総務や営業事務の方が自動的に進めてくださっていた業務の有り難みが、身に染みて分かります。

​ オンとオフの境界が消え、休めなくなる

自身の業務活動が直接収益に結びつく環境では、「休んでいる時間は稼げるチャンスを逃しているのではないか」という焦燥感に駆られやすくなります。

終業の合図がないため、食事中や家族との時間、さらには就寝前であっても常に仕事のことが頭を離れず、気持ちの部分で休まる時間が極端に少なくなってしまいます。

【具体例 2-4 】

休暇中の旅行先でもパソコン・スマホが手放せず、仕事のことが気になってしまいます。
有給休暇という概念がないため、体調を崩しても無理をして働いてしまい、結果として回復が遅れてしまうこともありました。

孤独感と、相談相手がいない不安

切磋琢磨し、時には愚痴を言い合える同僚や、他人のアイデアなどで助言をくれる上司といった身近な存在がいなくなります。

あらゆる経営判断の最終責任を自分一人で背負う必要があり、誰も裏付けをくれない道を突き進む孤独感は、想像以上に精神的な負担となることがあります。

「自分の判断が間違っていないか」という不安を、常に一人で解消していかなければなりません。

【具体例 2-5 】

休暇中の旅行先でもパソコン・スマホが手放せず、仕事のことが気になってしまいます。
有給休暇という概念がないため、体調を崩しても無理をして働いてしまい、結果として回復が遅れてしまうこともありました。

「重大なトラブルが発生した際、会社であればチームで協力して解決にあたれますが、今はすべて自分次第です。ふとした瞬間に、仲間と助け合っていた会社員時代の賑やかさを懐かしく思い出すこともあります。」

「独立」か「会社員」か、どちらかが一方的に優れているという正解はありません。

大切なのは、それぞれの環境が持つ特性を深く理解した上で、「今の自分にとってどちらの状態が合っているか」を判断し、自らの意志で道を選択することです。

独立開業という選択は、「自由」という裁量を得られる一方で、そのすべての結果に対して自ら「責任」を負う覚悟を必要とします。

  • 独立開業という選択が向いている方:
    不確実な状況をチャンスと捉え、徹底した自己管理のもとで変化を楽しみながら挑戦し続けたい方
  • 独立開業という選択が向いていない方:
    組織という安定した基盤と人材・資金で、自身の力を発揮することに価値を感じ、明確な役割分担や周囲との協調を重視したい方

これらを冷静に比較し、ご自身にとっての幸せの形がどこにあるのかを見極めてみてください。

主体的に選んだ道こそが、納得感のある人生へと繋がっていきます。

最後まで、ご覧いただき、ありがとうございました。


投稿者プロフィール

古賀 聡

広島県広島市の税理士。現在は、個人事業主・中小事業者(法人)の税務・経営の相談を中心に活動中。ブログ投稿を2020年10月1日に立ち上げ、税務・会計だけでなく、ExcelマクロやRPAを使って業務の効率化やWebサイトの構築など、「小さな便利」記事を毎週月曜日に作成・投稿中。

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