人を雇うタイミング:外注費から人件費へ
事業を継続して行なっていくと、少しずつですが売り上げは増えて行きます。
(また、そうしたいものです、決して簡単なことではないですが・・・)
当初の1人で売上を確保してきた場合は、外注先に依頼する部分が出てきます。
依頼される仕事内容の幅が広くなってくると、外注先の種類の幅も広くなってきます。
そうすると現在の人件費の割合と外注費の割合を比較することで、人を雇うタイミングが来ます。
従業員を雇うタイミング
「外注費」 から 「人件費」
(経費の内製化)
業種にもよるが、1人で上げる売上高の限界
何かモノを作る事業(製造業・建設業・飲食業)を行っていて、
例えば当初の売上高が500万だとします。
この時点で、実際の売り上げに貢献している人員が1人だとします。
独立開業当初で、この1人という状態からスタートするという設定で
売上高や外注費について説明します。
(全ての事業者がそうではないですが・・・)
この状態から売上高が1000万そして1500万に成長した場合、
一人で1500万をあげるのは難しく、
外注先に仕事の一部(あるいは、ほとんど)を依頼ししなければ、
この売上高は達成しません。
ここで、ざっくり数値を仮説して、比較してみたいと思います。
画像:売上高の推移とその割合(%)
当初は1人で事業を行っており、売上高が500万円です。
事業の経験値も増え、仕事の依頼も幅が広くなってきて、
徐々に売り上げが増えてきます。
材料費は売上高に比例して増加し、対売上高の割合は変わりません。
他方では、外注費の割合は材料費と同じように比例しません。
材料費の割合以上に、外注費の金額が大きくなります。
上記の仮設では、
売上高500万円の時、外注費は100万円で、対売上高の割合は20%
売上高1000万円の時、外注費は250万円で、対売上高の割合は25%
売上高1500万円の時、外注費は400万円で、対売上高の割合は27%
といった具合に、売上高に占める外注費の割合は、
一定の割合を過ぎると、急激に上昇します。
なぜなら、仕事ができる1日当たりの実働時間は限られているからです。
1日24時間は誰しも平等にあり、その時間内で仕事を行います。
数字だけで判断すると、材料費と同じように増加してくと思われますが、
決してそうではありません。
1人でやる場合、事業の売上高には必ず限界があり、
それ以上の売上高を増加させるには、
自分以外の人に依頼しなければならないからです。
これが、数字通り(パーセントに比例)に行かない部分です。
そのため当初の500万円の粗利率と比較して、
1500万の粗利率は徐々に下がっていくのが通常です。
この3パターンは1人で事業を行っている状態です。
このように1人でやるには限界があり、
どうしても外注先に仕事を依頼する金額が急激に増えてきます。
最低賃金という制限(制約)
人を雇うタイミングの前に、知っておいたほしいことに、
従業員の最低賃金があります。
業種別で最低賃金あり、支給しなくてはいけない1ヶ月当りの給料の最低額も、
これに連動して決まってきます。
そのため、上記の仮設の売上高が1000万円(①の時点)で、
外注費の250万円(年間)を人件費に切り替えることは、
最低賃金を下回るでしょうから従業員として人を雇うことは不可能になります。
しかし、上記の仮設の売上高1500万円(②の時点)まで
外注費の400万円(年間)まで増えると、
最低賃金を下回らず、人を雇える金額にまで売上高が成長したと言えます。
このように、外注費の金額が1月分の最低賃金を超えた金額になったときが、
人を雇うタイミングの1つになります。
広島県の最低賃金については、下記にURLを貼っておきますので、よろしければご参考にしてみてください。
実際に、人を雇った時(従業員の場合)には、
上記のような各県の最低賃金という制限がありますが、
その他にも社会保険料や労働保険料、従業員用の飲料や消耗品など、
その他の支出(経費)を伴います。
これら給料以外の金額を含めた人件費について、
下記の記事にて具体的な金額を挙げて試算しておりますので、
よろしければご参考にしてく見て下さい。
事業拡大のパターン
従業員として人が1人増えると、
自分が今までやっていた仕事を従業員に少し任せることができ、
営業に回す時間や事務などの管理する時間にも当てることができます
(実際は、2人分の仕事の段取りや管理が増えるので、一概には言えませんが・・・)。
もちろん、今まで通り現場で仕事をして売り上げを稼ぐという方法も選択できます。
この「選択」できるということが非常に重要です。
管理するための経費も増えるため、一概には言えませんが、
自分自身の給料も増え、次の設備に投資する金額も割り当てることができます。
一番重要な現場(製造現場・建設現場)に出る出ないという「選択」ができ、
事業の方向性や展開を考え行動(営業)する時間がとれるキッカケになります。
最初に従業員を受け入れるというステップは、
今後の事業展開に大きな影響を及ぼします。
1つの成功事例が出来上がれば、2回目以降も同様の手順を踏めばいいので、
事業が拡大していくパターンにハマってきます。
(ただし、「人材を育成する」という要素は、この数字には考慮・反映されていません)
もちろん、営業ができ、仕事の受注を取ってくることができる、
ということが大前提にはあります。
誰しもが受注が取ってくることができるわけではありませんが、
こういう数字の動き方を見ると、
少しずつ受注を増やしていくモチベーションになるのではないでしょうか。
最後まで、ご覧いただき、ありがとうございました。
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投稿者プロフィール
古賀 聡
広島県広島市の税理士。現在は、個人事業主・中小事業者(法人)の税務・経営の相談を中心に活動中。ブログ投稿を2020年10月1日に立ち上げ、税務・会計だけでなく、ExcelマクロやRPAを使って業務の効率化やWebサイトの構築など、「小さな便利」記事を毎週月曜日に作成・投稿中。
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