【収支内訳書の地代家賃の経費計上】
画像:「収支内訳書(一般用)の書き方」国税庁のHPより
収支内訳書(一般)の地代家賃の説明
税務署に行くと、
さまざまなリーフレットや冊子があります。
確定申告時期になると、
当年分の確定申告書を含めた各種資料が
各税務署入口内部に並びます。
その中で、白色申告をされている方は、
「令和〇年 収支内訳書(一般用)の書き方」
という冊子を見たコトはないでしょうか?
提出しなければならない確定申告に関する書類の一つです。
各収入と各経費を集計した数字を、
収支内訳書の所定の部分に記入し、所得金額を算出します。
各経費に関しては、事業に関する経費を集計し、
事業以外の金額は集計の対象にはなりません。
では、賃貸の自宅で事業をしている場合、
この家賃は、どのように扱うでしょうか。
自宅の支払だから、
事業以外の金額として全額経費にできないと、
思われているお客様が多いように見受けられます。
結論から言うと、
業種や自宅の使用状況にもよりますが、
支払の一部を経費にできます。
「令和4年分 収支内訳書(一般用)の書き方」に
そのヒントが記載されています。
(各年度の「書き方」を参考にして下さい。
変更の可能性があるので。)
2ページ目の[家事上の費用について]に
記載している部分の②にの部分です。
記載内容は、
「②店舗兼住宅について支払った地代家賃や
火災保険料、固定資産税、修繕費などのうち、
住宅部分に対応する費用」です。
さらに「※ この②や③などの費用を家事関連費といいますが、
家事関連費の家事分と事業(業務)分との区分は、
使用面積や保険金額、点灯時間などの
適切な基準によってあん分して計算します。」と
記載されています。
持ち家の自宅の場合は、
固定資産税や修繕費がかかってきますが、
賃貸の自宅の場合は、
主に地代家賃と火災保険料でしょう。
ただし、契約内容(賃貸借契約書の内容)によっては、
修繕費の支払もあるかもしれません。
この内、特に地代家賃を、
どのように経費として計上するかを考えてみます。
実際には事業関連部分がある
地代家賃(以下、家賃)の支払は、
契約の金額を毎月一回支払うとします。
この金額を事業用の金額と事業用以外(家事上の経費)に
計算して分けます。
通常、事業を行う場合、
必ず「拠点」が必要となります。
支出を抑えるために、
自宅を「拠点」にして事業活動を行います。
そのため、自宅には、
事業を行うための道具や備品など
「事業に必要なモノ」を保管しています。
このことは、
自宅の空間には「プライベートの空間」と
「事業のための空間」が同居しているコトになります。
この「事業のための空間」を支払った金額から計算するのです。
例えば、2DKの場合を考えます。
部屋が2つと居間(D)と台所(K)です。
最近の住宅は居間と台所は実質一つの部屋として
考えてもいいでしょう。
(よっぽど広い所を賃貸している場合は除きます)
これにより、2DKの場合は、3つの空間と考えます。
3つの空間の内、1部屋を道具を保管し、
仕事をするスペースに充てるのであれば、
1部屋が事業用の経費になります。
3つの空間がほぼ同じ平米面積(あるいは同じ畳)であれば、
3分の1となります。
同上の計算を、仮に家賃が90,000円ならば、
経費にできる金額は30,000円で、下記の様になります。
(例)
90,000円÷3空間=30,000円
家賃支払÷空間=事業用家賃
※上記の計算は一つの例であり、
事業の業種・自宅面積により異なることに
注意して下さい
実務では、
事業の業種や規模、賃貸している自宅の面積などなど、
それぞれ個別で考える必要があります。
建設業の場合であれば、
工具や道具などが必ずあり保管しています。
ホステス業の場合であれば、
お店で着る衣装や美容品などが必ずあり保管しています。
これらの保管スペースは事業用の空間です。
この空間を「適切な基準」によって
支払っている家賃の金額を区分して計算します。
上記の計算した内容については、
収支内訳書の2ページ目の「〇地代家賃の内訳」という
記載部分が設けられてます。
支払っている大家さんの氏名と住所、
支払っている年間の合計金額、
その年間合計金額の内で経費にした金額
(「必要経費算入額」と言います)を記載します。
賃貸の自宅の場合は、
必ず家賃の金額が記載されていないとおかしいコトにもなります。
経費の漏れをとにかく無くす
地代家賃を例にしましたが、
事業を行っていると必ず発生する金額があり、
事業内容をお伺いし、収支内訳書を見て、
経費の計上に漏れが無いか、
納税者様とお話をさせて頂きます。
建設業の場合、
ほとんどの方は事業用のクルマを持っています。
クルマを所有しているかどうか確認し、
所有している場合は、
必ず「㋠損害保険料」に
自賠責保険料(車検の有有無による)や
自動車保険料(任意の自動車保険)の金額が
記載されているか確認します。
記載がなければ、
経費が漏れている可能性があります。
ホステスの場合、
例えば普段着とは別に衣装代を支払っているのですが、
㋾~㋟の部分を使用して、
衣装費として別に集計した金額を記載します
(消耗品費として他の消耗品代と一緒にする人もいます)。
事業内容により、
収支内訳書に記載されている科目に当てはまらない場合は、
㋾~㋟を使って合計金額を記載します。
このように、事業内容により、
必ずセットの経費があります。
自身の事業を振り返ってみて、
経費の漏れが無いようにして下さい。
事業以外の経費は、必ず外してくださいね。
★ ★ ★
投稿者プロフィール
古賀 聡
広島県広島市の税理士。現在は、個人事業主・中小事業者(法人)の税務・経営の相談を中心に活動中。ブログ投稿を2020年10月1日に立ち上げ、税務・会計だけでなく、ExcelマクロやRPAを使って業務の効率化やWebサイトの構築など、「小さな便利」記事を毎週月曜日に作成・投稿中。
人気ブログ投稿
お問い合わせ・ご相談は、
お問い合わせフォームにて受け付けております。
お問い合わせフォームの受付は
24時間受付中です。
まずは、気軽に
ご相談・お問い合わせください!